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2026.09.29 10:45

狙うは「AIスマホの次」──クアルコムが描くエージェンティックAI時代の事業戦略

Snapdragon Summit初日の基調講演に立ったクアルコムのクリスティアーノ・アモンCEO(左)。長年のパートナー企業であるグーグルのリック・オスターロー氏とともに、AIエージェントの時代にも連携しながら、ユーザーに求められるAIデバイスを届けることを宣言した

Snapdragon Summit初日の基調講演に立ったクアルコムのクリスティアーノ・アモンCEO(左)。長年のパートナー企業であるグーグルのリック・オスターロー氏とともに、AIエージェントの時代にも連携しながら、ユーザーに求められるAIデバイスを届けることを宣言した

米クアルコムの年次発表会「Snapdragon Summit 2026」を、ハワイ・マウイ島で取材した。今年の発表内容をスマートフォン向け半導体のスペック競争という視点だけで捉えてしまうと、同社の戦略を見誤る。

クアルコムが見据えているのは、スマートフォンを起点にワイヤレスオーディオやスマートグラスなどの周辺機器にも高度な処理能力と通信機能を広げ、AIエージェントの時代を支える強固なプラットフォームを築くことだ。

AI時代の主役となるデバイスも、やはりスマートフォン

初日の基調講演で、クアルコムのクリスティアーノ・アモンCEOは「これからAIの時代が到来しても、スマートフォンはなくならない」と語った。

2023年頃に生成AIブームが本格化して以降、シリコンバレーのスタートアップやテック業界の一部では「専用のウェアラブルやAIデバイスが、いずれスマートフォンに取って代わる」といった急進的な見方がたびたび語られてきた。これに対してアモン氏は、「スマートフォンが他のデバイスに置き換わることはなく、人々が手放せない存在であり続ける」と明確に否定した。

一方で、モバイル体験の起点はアプリから、ユーザーの「意図=Intent」に変わっていくとも述べた。AIがユーザーの予定や好みを理解し、その目的を達成するために必要なアプリやサービスを横断して仕事を進めるようになる。

その際、スマートフォンのようなデバイスが姿を消すことはない。むしろ、本人にひも付く情報や権限をセキュアに管理しながら、イヤホンやスマートグラスなど周辺のデバイスをつなぐ中核的なハブとして、その役割を強めていく。

アモン氏は、従来のスマートフォンではユーザーが画面を操作し、その都度デバイスが応答していたのに対し、今後は「AIエージェントがユーザーに代わって行動する」ことがもうひとつの標準になると説明した。

例えば、好きなアーティストの公演情報を知らせておけば、AIエージェントはユーザーの承諾を得たうえで、友人との日程調整からチケットの手配までを進める。こうした体験を実現するには、ユーザーが画面を見ていない間も状況や情報を捉え続け、必要な時には迅速に応答できる処理能力が求められる。

「AIエージェントはデバイスに追加されるひとつの機能ではありません。新しい体験と、デバイスによる仕事の進め方そのものを生み出す基盤なのだ」とアモン氏は語った。

この体験を実現するためには、スマートフォンが搭載するSoCの中で優れたCPUのほか、AI処理を担うNPU、低消費電力で周囲の情報を捉えるセンシングハブ、安定した通信機能などを緊密に連携させる必要がある。さらに、処理をデバイス上で実行するのか、それともクラウドに任せるのかを、応答速度や消費電力、扱う情報の性質に応じて適切にタスクを振り分けなければならない。

クアルコムの強みはこうした複数の処理基盤を統合し、性能と消費電力のバランスを取りながらAIタスクも効率よく実行する、システム化された半導体チップの設計力だ。

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編集=安井克至

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