世界最大級のゲーム小売チェーンである「ゲームストップ」の未来は今や、その店舗ではなく、米ネット通販大手「eBay」に対する数十億ドル規模の賭けに大きく左右されている。ゲームストップのライアン・コーエンCEOは、自社株に対して自己資金をさらに4700万ドル(約74億1000万円)投資した。株主はその賭けが再建を強化するのか、それともリスクを集中させるのかを見極める必要に迫られている。
直近四半期末時点で、ゲームストップは約49億ドル(約7720億円)相当のeBay株を保有していた。このポジションは、ゲームストップの直近の時価総額120億ドル(約1兆8900億円)の約41%に相当する。利益を左右し、バランスシートを再構築し、コーエンによる同社の変革が最終的に成功するかどうかを決定づけるほど大きな規模だ。
ゲームストップは経営不振の小売企業として出発し、ミーム株(SNSの流行で暴騰する銘柄)となり、その株式への熱狂を利用して数十億ドルを調達した。そして今、より重要な局面を迎えている。コーエンはその資本の多くを、自身が買収したい企業に投じており、株主はeBayの価値と、コーエンが取引を成立させる交渉力の双方にさらされている。
筆者は以前から、ゲームストップの将来性に対して慎重な視点を提示してきた。2023年には、ボラティリティ、群集心理、短期利益への誘惑が、ファンダメンタル分析に取って代わっていると警告した。注目そのものが投資判断の根拠となったとき、その批判は正当化された。
その後、ゲームストップは実質的な資産を積み上げ、経費を削減し、黒字化を実現した。コーエン自身も相当額の私財を投じている。同社は改めて評価に値するが、現在のバリュエーションを判断するには、投資家はeBayへの大規模かつ集中した賭けを理解する必要がある。
コーエンの買い増しが持つ意味
コーエンは9月21日、ゲームストップ株115万680株を平均22.94ドル(約3610円)で購入し、約2640万ドル(約41億6000万円)を投じた。同月初めには、さらに100万株を約2040万ドル(約32億1000万円)で取得している。現在、同氏は約4050万株を直接保有しており、それはゲームストップの発行済み株式の約8%に相当する。取締役のアラン・アタル、ローレンス・チェン、ジェームズ・グルーブも最近、株式を購入している。
筆者は、インサイダーが自己資金で買うときに注目する。経営陣はさまざまな理由で株式を受け取り、さらに売却することが多い。これほどの規模の市場での買い付けは、そうした曖昧さの多くを取り除く。コーエンは、自身が築いているものを市場が過小評価していると考えているのかもしれない。
投資家は依然として、彼が正しいかどうかを判断しなければならない。インサイダーによる買いは確信の証拠にはなり得るが、買収が十分なリターンをもたらすことの証明になるとは限らない。コーエンが株主と完全に利害を一致させていたとしても、eBayの価値を見誤ったり、過剰な負債を抱えたり、取引を完了するためにゲームストップ株を発行しすぎたりする可能性はある。



