不確実性には大きなコストが伴う。
リーダー層が気づいているかどうかにかかわらず、今やあらゆる組織がそのコストを支払っている。それは、後手に回った対応がもはや通用しない世界において、受動的なリーダーシップという形で現れる「カオス・タックス(混乱の代償)」だ。
そして、ほとんどのリーダーは先を見据えて思考する方法を教わってこなかった。リーダーとして、私たちは目の前にあるものを管理する方法ばかりを叩き込まれている。
- 机の上の課題を解決する。
- 四半期目標を達成する。
- 目の前のトラブル処理に追われる。
- そうしたトレーニングは、変化のスピードがもっと緩やかだった時代には理にかなっていた。
だが、現在では通用しない。
私は、フォーチュン200企業の取締役会やフォーチュン500企業の執行委員会から、中小企業の創業者、激変期において会員をサポートしようと奮闘する業界団体に至るまで、いたるところで同じパターンを目にしている。規模こそ違えど、現れている症状は同じだ。組織は目の前の対応に必死になるあまり、これからやってくる未来を誰も見ていない。そして、未来は必ずやってくる。それだけは確かだ。
信じられないかもしれないが、現在リードを広げているリーダー、チーム、組織は、最も多くのリソースを持っているところではない。彼らは受動的な管理から、戦略的な「先見性(フォアサイト)」へとシフトした人々だ。
以下は、さまざまな業界のリーダーシップチームとともに私が取り組んできた、先見性を養うためのアプローチである。これにより、カオス・タックスの支払いを止め、混乱の先手を打つことができるようになる。
1. すべての混乱を「想定外の事態」として扱うのをやめる
多くのリーダーは、変化を互いに関連のない一連のショックとして捉えている。ホルムズ海峡の封鎖に伴うサプライチェーンの問題、AI主導による人材不足や意思決定、あるいは競合他社の予期せぬ動きなどだ。しかし、混乱が何の警告もなしに訪れることはめったにない。単に注意が不足していたために、突然やってきたように見えるだけなのだ。
2. 水しぶきだけでなく、波紋を解決する
多くの意思決定は、「目の前の課題が解決されたか」という直接的な一次効果のみで評価される。しかし、それは近視眼的なアプローチだ。あらゆる決定は二次、三次的な波紋を広げ、それらの反応が複雑に絡み合って新たな現実を作り出すからだ。「これで今日の何が解決するのか」としか問いかけないリーダーは、それが明日何を生み出すのかについて、目隠しをして飛行しているようなものである。
3. 変化を追うのではなく、変化を先導する
過去20年間にわたり、上場企業でリーダーシップを発揮し、またアドバイザーを務めてきた経験から、私は貴重な教訓を得た。それは「四半期単位の思考は罠である」ということだ。それは目に見えるものだけを最適化し、避けられない未来を無視してしまう。私は長年、18〜24カ月先を予測し、未来を見据えてビジネス戦略に十分な幅を持たせることで、混乱の先手を打ってきた。そうすれば、実際にその未来が訪れたときに不意を突かれることはない。これに水晶玉(未来予知)は不要だ。事前の思考を済ませておくことで、迅速に動ける組織の準備態勢を構築すれば、十分に達成できる。
4. 先見性を単なる「認識」にとどめず、「行動」に移す
パターンを認識することと、それに基づいて行動することは同じではない。見栄えは素晴らしいが危機に際しては役に立たない、立派な戦略資料を誰もが一度は目にしたことがあるはずだ。先見性が実を結ぶのは、それが具体的な意思決定へと変換されたときだけである。今何を構築すべきか、何の資金提供を止めるべきか、どのような人材を育成すべきか、致命的な弱みとなる前にどの能力ギャップを埋めるべきか。現在勝ち残っている組織は、インテリジェンスを持っているだけでなく、洞察から行動に移るまでの距離が極めて短い。
5. 一時的な取り組みではなく、組織としての「筋力」を鍛える
戦略的先見性は、単発のプロジェクトでも、一度限りのオフサイトミーティングで行う演習でもない。それは他のスキルと同様に、反復、フィードバック、そしてプレッシャーテストを通じて構築されるべきリーダーシップの「能力」である。予測を年に一度のイベントとして扱う組織は、それを毎週の習慣としている組織に常に遅れをとるだろう。単一の正確な予測を立てることよりも野心的な目標は、サイクルを重ねるごとに予測の精度を上げ、鋭敏になっていく組織を構築することだ。
多くのことを述べてきたが、要するにこういうことだ。
カオス・タックスが消え去ることはない。変化のペースが遅くなることもなければ、リーダーが追いつくのを待ってくれることもない。
はっきりさせておこう。カオス・タックスを支払うかどうかは、自ら選択できる。それは受動的なリーダーシップの代償であり、これまでとは異なる「筋力」を鍛えようとするリーダーであれば、回避することが可能だ。
そこで、自問してみてほしい。あなたの組織は、目の前の出来事に対処しているだけなのか、それとも次に起こることを予測しているだろうか。もしあなたの組織が、カオス・タックスを支払うのをやめ、より明確な先見性を手に入れる準備ができているなら、話をしよう。



