ついこの間まで、ソフトウェアを作るには、何年もかけてプログラミングを身に付けるか、高い料金を払って誰かに作ってもらうしかなかった。
バイブコーディング(vibe coding)が登場したことで、状況は変わった。作りたいものをふだんの言葉で説明すれば、あとはAIに任せておくだけで、コードを書き、テストし、デプロイ(実際に使える状態で公開すること)まで済ませてくれる。
AIに言葉で指示する開発、本当に役立つものはできるか
では、実際のところはどうなのか。なにしろ「何でも作れる」ことと、本当に役に立つものを作ることとの間には、天と地ほどの差がある。
幸い、AI研究者のアンドレイ・カーパシーが2025年初めにこの言葉を生み出してから、まだ日は浅いものの、何ができるのかを示す実例はすでにたくさん出てきている。
そこで、この強力な新しい手段をうまく活用し、新しい製品や社内の業務プロセス、顧客体験を生み出した企業をいくつか見ていこう。
ブッキング・ドットコム──研修で開発者のAI利用が急伸し生産性30%増
オンライン旅行会社のブッキング・ドットコムは2025年初めに、3500人のエンジニアを抱える開発部門全体へAIコーディングアシスタントを導入した。生成AIを担当するグループ・プロダクトマネジャーのブルーノ・パソスによれば、当初は利用がなかなか広がらなかったが、この強力な新しいツールを使いこなすための研修を開発者が受けると、利用は急速に伸びたという。開発者の仕事への満足度は高まり、生産性も30%向上した。ここでいう生産性は、レビューを経て完成した成果物の量で測ったものである。
ここから得られる教訓ははっきりしている。企業は、ツールを従業員の手に渡すだけでなく、研修に投資し、新しいことを試す人が報われる文化を育てなければならない。



