ナイキの決算発表が米国時間10月1日に予定されている。その際、業績回復の成否を「売上高」という単一の数値だけで判断したくなるかもしれない。しかし、それは誤った評価方法だと筆者は考える。
ナイキはすでに、より多くの製品を卸売チャネルに戻せることを証明した。しかし、顧客がそれらの製品を定価で購入しているか、あるいは製品を再び浸透させるために同社がどれほどの利益を犠牲にしなければならないのかは、まだ明らかになっていない。
投資判断の焦点はそこへ移行している。ナイキは長年、小売店から手を引き、自社の直営店やデジタルプラットフォームへ顧客を誘導することに注力してきた。経営陣はそれにより、コントロールの強化、粗利益率の向上、そして消費者とのより緊密な関係構築を期待していた。これに対し小売側は、On(オン)、HOKA(ホカ)、アディダスといった競合ブランドに棚を割り当てることで対応した。そして顧客は、ナイキだけが選択肢ではないことに気づいたのだ。
エリオット・ヒルは現在、これらの関係を修復し、再びスポーツを同社の中核に据えようとしている。彼は成すべきことを実行している。しかし、売上高の回復に比べ、財務面での恩恵がもたらされるまでには、より長い時間がかかるかもしれない。
ナイキの決算、卸売の回復力を試す場に
ナイキは10月1日の米株式市場の取引終了後、2027年度第1四半期決算を発表する。前四半期の数値は、なぜ詳細な内訳が重要であるかを示していた。売上高は110億ドル(約1兆7300億円)で、公表ベースで前年同期比1%減、為替変動の影響を除いたベースで4%減となった。卸売は4%増加したものの、直販部門の「Nike Direct」は7%減少した。「ナイキ」ブランドのデジタル売上高は12%減少し、直営店の売上高は7%減少した。卸売の改善は、ナイキが再び小売業者を必要としているという点で心強い兆候だった。しかしナイキは、小売業者が顧客にシューズを販売した時点ではなく、自社が小売業者に製品を販売した時点で売上高を計上する。出荷さえできれば、そのシューズが後に値引き販売を余儀なくされるとしても、当四半期の業績には貢献するのだ。
筆者が注目したいのは、セルスルー(実売率)、リピート注文、および定価での販売状況だ。顧客がナイキ製品を購入しているために小売業者が追加発注を行っているのであれば、業績回復は本物である。しかし、この改善が主に、長年の供給制限を経て小売店が在庫を再構築していることを反映しているにすぎない場合、実需を先取りして決算の数値が良く見えているだけという可能性がある。
Nike Directも同様に重要だ。同社がアプリやメンバーシッププログラム、直営店に巨額の投資を行ってきたのは、直接販売が高利益率をもたらし、価格決定権を自社で握ることができると期待したからだ。卸売チャネルでの流通が改善している一方で、直販部門の減少が続くようであれば、消費者との関係性が弱まっていることを示唆している。



