湖畔の家に飾るような看板を、たいていのホームデコレーション店で見かけることがある。「Lake Life(湖の暮らし)」といった言葉が書かれていて、壁に掛けると、皆が「湖はいいよね」と同意し、それきり誰も気に留めなくなる。
企業のミッションステートメントも、同じ運命をたどっているのではないかと、時々思う。
企業は、合宿やコンサルタントの雇用、ホワイトボードの活用など、戦略的プランニングに途方もない時間と費用を費やす。そして半年後、卓越性、誠実さ、優れたソリューションについて述べた3つの文章を大々的に発表する。しかし、その言葉が実際に何を意味しているのか、誰も本当は理解していない。
私はミッションステートメントに反対しているわけではない。優れたものは企業を構成する要素の一部となり、人々の意思決定、顧客がその企業をどう体験するか、そして顧客がなぜそこにとどまることを選ぶのかに影響を与える。ただし、それは実際に機能しなければならない。
ミッションが商品を超えるべき理由
私自身の事業でそのことを理解するまでには時間がかかった。以前は、自分たちが何をしているかを語る方がはるかに容易だった。投資、運用成績、プランニング、商品。これらは目に見えるものであり、能力を示すものでもある。同時に、そこに隠れるのは安全でもある。自社の価値をどう説明すればよいかわからない企業は、いつでも代わりに商品について語れるからだ。「より安く、より賢く、より洗練されている」といった具合に。
経験を重ねるなかで、そもそもなぜこの仕事をするのかを語ることに、私はより自然でいられるようになった。私のウェルスマネジメント会社のミッションは、顧客が「自分の使命を生きる(Live Your Mission)」ことを支援することだ。初回の面談では必ずこの言葉を使う。誰かが会議室用に見栄えのよい看板を注文したからではなく、それによって会話の出発点が変わるからである。
私たちは、顧客が何を成し遂げたいのかを尋ねることから始める。そうすると、ポートフォリオの明細から始めるのとはまったく異なる方向へ会話が進む。人々は、家族を支えること、子どもを助けること、寄付をすること、事業を売却すること、何かを残すこと、あるいは単に十分な資産があると知りたいことについて語る。これらはすべて、お金の効用の形である。
私たちの業界は、その点を見失うことがある。ウェルスマネジメント会社は、リターン、ベンチマーク、経費率といったものを測定することに非常に長けているからだ。これらは重要である。しかし、それらは前提条件であって、ミッションではない。
コンマ数パーセントのリターンの違いで、ある家族に対して成功したかどうかを判断するわけではない。彼らは退職する自信を得たのか。子どもを支援できたのか。何年も話していた贈与を実行できたのか。彼らの資産は、より大きな自由をもたらしたのか、それとも明細上の数字を大きくしただけなのか。これらの問いは四半期報告書には載せにくいが、人々がそもそも資産を蓄積した理由により近い。
ミッションを築くことと、看板を買うことの違い
同じ考え方は、ほぼあらゆる事業に当てはまる。メーカーは部品の精度を説明できる。テクノロジー企業はソフトウェアを、レストランは料理を説明できる。これらをうまく行う必要はある。しかし、成果物だけでコミットメントが生まれることはめったにない。
あなたが何度も戻っていく企業について考えてみてほしい。そこには通常、商品を超えた何かがある。あなたはその企業を信頼し、店やオフィスの扉をくぐったときに何を期待できるかを知っている。商品は人を入口まで連れてくるが、後に残る体験が人を呼び戻す。それが重要なのは、商品は模倣でき、価格は下げられる一方で、企業が顧客に対して一貫して生み出す体験を模倣することははるかに難しいからだ。
そこでミッションステートメントが役に立つ。それが本物であれば、顧客がその企業で得る体験に影響を与え、明確な答えがないときに従業員が意思決定をする助けとなり、企業が何を提供するか(そして時には何を提供しないか)にも影響する。
顧客は、それが空虚なものかどうかをかなりよく見抜く。コンサルタントに100万ドル(約1億5800万円)を費やし、受付の背後に高価な文字でミッションステートメントを掲げることはできる。しかし、その受付の向こう側で得られる体験がその言葉と何の関係もないのであれば、結局のところ高価な看板を買ったにすぎない。
自社を差別化する
これを正しく行うべき実務的な理由もある。どの企業にも、自らコントロールできないものがある。たとえば私たちの場合、それは市場だ。思慮深いポートフォリオを組むことはできるが、来年の株価がどう動くかはコントロールできない。もし運用成績だけが顧客が私たちを雇った理由であれば、悪い相場はその関係そのものへの審判になってしまう。
コモディティ価格の変動であれ、次世代プラットフォームの登場であれ、あるいは通りの向かいにオープンする競合店であれ、あらゆる事業が同様の課題に直面している。顧客との関係が売っているものだけに依存しているなら、その関係を守るために多くの時間を費やすことになる。
目的は、競争するための別の場所を与えてくれる。これは、あらゆる企業が突然、人類を変えるために存在していると気づく、という意味ではない。企業は本当に優れた部品を作り、顧客の生活をより楽にするだけでもよい。それは存在するに値する立派な理由である。ミッションは重要そうに聞こえる必要はない。真実であり、実践されている必要がある。
経営者への試金石
これが、私があらゆる経営者に示したい試金石である。ミッションステートメントをウェブサイトから外し、オフィスの壁から降ろし、会社を見てみる。従業員は、自分たちに求められている意思決定に基づいて、それが何であるかをなお理解できるだろうか。顧客は、あなたの会社で得る体験から、それを理解できるだろうか。
私たちの場合、その答えが、家族との対話とその後の意思決定に表れていることを願っている。優れた投資運用は当然期待されるものだが、この仕事の目的は、顧客が自らにとって重要なことを成し遂げるために資産を使えるよう支援することにある。
私たちが運用成績や商品ではなく、その点を前面に出す自信を持てるようになるまでには経験が必要だった。ある時点で、企業は自分たちがその場で最も賢い存在であることを証明するのをやめ、そもそもなぜその仕事が重要なのかを説明することに自然でいられるようになる。
ミッションステートメントは、商品、従業員の意思決定、あなたが生み出す体験、そして顧客が取引後に抱く感情を形づくるべきものだ。それを壁から外しても、従業員と顧客がなおそれが何であるかを語れるなら、おそらく本物を持っている。
そうでないなら、インテリア店にも看板は売っている。



