経営陣の間で、ある変化が起きている。H/Advisorsによると、2025年にはソーシャルメディアのプロフィールを持つCEOの71%が少なくとも月に1回は投稿しており、これは前年比で47%の急増となった。かつてはソーシャルメディアの運用を完全にマーケティングチームに任せていたエグゼクティブたちが、今や自ら表舞台に現れている。彼らはこれまで以上に露出し、発言し、個人的な一面を見せるようになった。PayPalは2025年に「CEOコンテンツ責任者」の役職を公募したことで、この変化を公式なものとした。かつては二の次だったものが、今や組織の優先事項となっているのだ。
リーダーの可視性が戦略的資産になった理由
消費者や労働者の期待は変化した。透明性と真正性(オーセンティシティ)は今や、人々が商品を購入するブランドや、働くことを選ぶ企業にとっての基本要件となっている。誰もがいつでも何でも調べ、コンテンツを投稿できる世界において、企業の評判はソーシャルプラットフォーム上で絶えず形成されている。
人々はロゴではなく、人とつながるものだ。LinkedInによると、今やB2Bマーケターの83%が、従来のブランドメッセージよりも信頼性のほうが重要であると回答している。エグゼクティブが継続的に姿を現し、率直に語ることで、まさにそのような信頼性が築かれる。そして、パフォーマンスの数値もそれを裏付けている。Prolific Voices Influence Index 2026によると、LinkedInにおけるCEOの投稿は、ブランド主導のコンテンツに比べてインプレッションが7倍、エンゲージメントが4倍多く発生している。
洗練されすぎていないコンテンツも支持を集めている。台本のない動画や率直な意見は、マーケティングチームが何カ月もかけて練り上げたブランドキャンペーンを一貫して上回るパフォーマンスを見せている。CEOによる動画の活用は、過去2年間で68%急増した。
この完璧な例が、ブラックストーン(Blackstone)の社長であるジョナサン・グレイ(Jonathan Gray)だ。彼は朝のランニング中にLinkedInで短い動画を投稿し始め、私生活の様子とともに市場への見解を共有している。それはプレスリリースや企業メッセージというよりも会話のように感じられるコンテンツであり、視聴者は好意的に反応している。
注目に値する長期的なメリットも存在する。LinkedInは、ChatGPT、Google AI Mode、Perplexityにおいて2番目に多く引用されているドメインだ。企業やそのリーダーについて調べるためにAIツールを利用する人が増える中、LinkedInにおけるエグゼクティブのアクティブな存在感は、ブランドがそれらの検索結果にどのように、あるいはそもそも表示されるかにおいて、ますます重要な要素となっている。
ただし、考慮すべきリスクもある
今年初め、マクドナルドのCEOであるクリス・ケンプチンスキー(Chris Kempczinski)は、新作バーガーを試食する動画を投稿し、そのバーガーを「プロダクト(製品)」と呼んだ。おそらく目にしたことがあるだろう。このクリップは意図しない理由で瞬く間に拡散し、マーケティングや広報チームが、CEOをソーシャルメディアから完全に遠ざけるべきだ、あるいは投稿内容や頻度を制限すべきだと主張する際の典型的な事例となった。
懸念は理解できる。しかし、身を引くこともまた戦略とは言えない。この変化を最大限に活用しているブランドは、エグゼクティブを傍観させているところではない。明確な計画を持って取り組み、ブランドの背後にいる人々の顔が見える、よりリアルなコンテンツを求める人々の欲求を利用しているところなのだ。
CEOコンテンツ戦略を構築するマーケター向け、3つのヒント
1. 録画ボタンを押す前に「トーン&マナー」を定義する
まずは時間を投資して、明確なパーソナルブランディングのフレームワークを構築することだ。CEOがどのようなテーマを担当し、業界に対してどのような真摯な見解を持っているかを明確にする。真のオーディエンスを獲得しているエグゼクティブは、一度にすべてをカバーしようとするのではなく、一貫した領域にとどまる傾向がある。
どのブランドアカウントも語れない、あなたの企業のCEOだからこそ語れることは何かを考えてみよう。それがスタートラインだ。一貫性は認知を生み、認知は信頼を生む。
2. シンプルで合理化されたチェック体制を組み込む
最高のCEOコンテンツは自然発生的なものに感じられるが、チェックなしで発信していいわけではない。優れたコミュニケーションスキルを持つ人物による承認ステップを設けよう。マクドナルドの事例は、たった一つの言葉選びがニュースになり得ることを思い出させてくれる有益な教訓だ。
目指すべきは、CEOのスピードを落としたりコンテンツから個性を奪ったりしないほど軽快でありながら、不適切な見出しを飾るような失言を防げる、堅実なワークフローである。
3. キャンペーンではなく、ひとつの「チャネル」として扱う
マーケティングチームは、CEOのコンテンツをキャンペーンサイクルに組み込み、発表や重要なアナウンスの前後だけ稼働させ、その間は沈黙したくなるかもしれない。しかし、最も大きな牽引力を生み出しているエグゼクティブは、売りたいものがあるときだけでなく、定期的に投稿している。CEOが長期的に維持できる持続可能なペースを構築しよう。週に1、2回であっても、一貫して継続すれば、それは真のブランド構築へと複利的に積み重なっていく。
エグゼクティブによるコミュニケーションとコンテンツ制作の境界線は曖昧になっており、それが元に戻ることはない。マーケターにとって、これはチャンスだ。リーダーがソーシャルメディア上で一貫して、かつありのままの姿を示せるようサポートしているブランドは、いかなる広告予算でも簡単に再現できない信頼と露出を獲得している。
「クリエイターCEO」の時代は到来している。問題は、あなたの組織がそれを最大限に活用できる体制になっているかどうかだ。



