国際連合の総会に合わせて米ニューヨークで世界の首脳らが会合を続けるなか、新たな世界大戦を防ぐために創設されたこの組織は厄介な問いに直面している。80年にわたって大国間の比較的平和な状態を維持してきた諸原則が、いま崩れ始めているのではないか、という問いだ。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は22日、総会の一般討論の冒頭で、不穏な現状認識を示した。「世界の断層線は広がっています。亀裂は深い谷になりました」。国連総会のコリルル・ラーマン議長(バングラデシュ外相)も、単刀直入にこう述べた。「人々が問うているのは、国連がまだ存在しているのかどうかではありません。果たして国連は機能しているのかどうか、であります」
同じ問いは、米国の指導力についても投げかけることができるかもしれない。
ドナルド・トランプ米大統領は国連総会で行った演説で、米国は「かつてないほど強くなっています」と宣言し、国家主権、米国の力、敵対勢力と対決する意思を強調した。
President Trump just took the stage at the UN to deliver an address.
— America First Policy Institute (@A1Policy) September 22, 2026
“I can report to you with pride that America is BACK, and our country is stronger today than ever before!” 🇺🇸 pic.twitter.com/KOlVRHVxNN
だが、ワシントンでは別の議論が進んでいる。それは、米国は1945年以降、自ら構築してきた国際安全保障体制を、いまでも主導するに値するものと考えているのかどうか、という点をめぐるものだ。
ロシアが突きつける試練
長期的に中国からの挑戦がどのようなものになるにせよ、現時点で北大西洋条約機構(NATO)自体が示している評価はこの上なく明確である。NATOが現在、「加盟国の安全保障に対する最も重大かつ直接的な脅威」と位置づけているのはロシアだ。その根拠として、NATOはロシアの軍備拡張や核による威嚇、破壊工作、サイバー攻撃、偽情報の拡散、ウクライナに対して続けている戦争を挙げている。ロシアがNATO諸国の領空を頻繁に侵犯している事実も見過ごされてはいない。
だからこそ、米国の欧州政策の転換はとりわけ重大な意味を持つ。およそ80年間、米政府の基本的な認識は、敵対的な大国が欧州を支配するのを阻止することは米国自体の国益にかなう、というものだった。そうすることは、欧州諸国へのたんなる慈善的な配慮などではなかった。



