イタリアを代表するスクーター「ベスパ」の標準モデル「ベスパ・プリマベーラ」が、欧州で立体商標登録された。製造元の自動車・二輪メーカー、ピアッジオは2026年9月21日、欧州連合知的財産庁(EUIPO)への登録出願が認められたと発表した。
EU加盟27カ国全域で商標権が保護される欧州連合商標(EUTM)への登録は、7月22日に完了したという。二輪車と縮尺モデルの両方が対象で、ピアッジオは「ベスパ・プリマベーラの車体形状が使用により獲得した識別力」をEUIPOが認めたと述べている。
今回のEU商標登録に先立ち、同社は2024年2月にイタリアで、2025年11月には英国でそれぞれベスパを立体商標登録していた。
「立体商標」とは?
立体商標は、製品の立体的な形状や外観を商標権の保護対象とする制度だ。EUIPOでは「容器、包装、製品そのもの、またはその外観」に関連する立体的形状を構成要素とする商標と定義している。
ベスパの場合は、プリマベーラの形状が使用を通じて識別力を獲得したとEUIPOは結論づけた。ピアッジオの発表によるとEUIPOは、ベスパを「1946年から販売されているスクーターで、その社会的評価、知名度、認知度は欧州連合の境界をはるかに超えて広がっている」と評価した。
ベスパのすべての意匠が保護されるわけではない
立体商標が登録されたからといって、丸みを帯びた車体形状のステップスルースクーターを他社が製造できなくなったわけではない。ベスパの場合、消費者が「ベスパ」という製品名を確認するより前に、その形状からベスパだと認識できることをピアッジオが出願の際に説明し、これが識別力としてEUIPOに認定された。
実のところ、デザインの究極の成功のひとつは模倣されることであり、それは車両に限った話ではない。音楽でも、あるトレンドに火が付くと、突然どのグループも驚くほど聞き覚えのあるサウンドを奏でるようになる。フレーバーコーヒーがブームになれば、競合ブランドがこぞって自前の商品を売り出す。
自動車業界におけるデザインの潮流も同様だ。プロポーションやグリル、照明などの処理に関しては視覚的な特徴を取り入れつつ、オリジナルのデザインから十分に距離を置くことで、各社とも独自性を追求している。
たとえば、2005年式のクライスラー300が新型としてデビューした際には、堂々としたグリル、高いベルトライン、高級感あふれる佇まいから、数倍も高価な車と比較された。米自動車情報誌『カー・アンド・ドライバー』は後年、初代300について「大胆不敵で、お手頃価格のベントレーのよう」だと評している。



