マクドナルド株の行方は加盟店の投資回収にかかっている
「NEXT」の下では、米国の平均的な店舗で約80万ドル(約1億2600万円)の投資が必要になるとみられる。マクドナルドは資金援助や賃料減免を通じてこのコストの補填を支援し、支援レベルは市場ごとに異なる予定だ。
経営陣は、これによる効率化が米国の平均的な店舗で年間約10万ドル(約1580万円)のキャッシュフローを上乗せできると見込んでいる。マクドナルドからの支援を加味すると、加盟店は約4年で投資を回収できる見通しだという。
これらの数字は、詳しく精査する必要がある。80万ドル(約1億2600万円)のプロジェクトが年間10万ドルのキャッシュフローを生み出す場合、本社の支援がなければ回収には8年かかる計算になる。マクドナルドは、同社の資金援助によってこの回収期間を4年に短縮できると考えているのだ。
そのため、支援の規模とタイミングが極めて重要になる。また、この計画は10万ドルすべてが丸々上乗せされることを前提としているが、経営陣は、得られたメリットの一部を事業に再投資する方針も認めている。
建設費の高騰や、改装中の店舗の売上減少、あるいは期待された効率化の遅れが生じた場合、投資回収にはさらに時間がかかる可能性がある。今後4年間で米国店舗の約70%が改装サイクルに入る予定であり、わずかな狂いであってもシステム全体に重大な影響を及ぼしかねない。
また、加盟店は人件費や食材費、光熱費の上昇を吸収しながら、より高い価値(お得感)を提供することも求められている。5ドルのセットメニューは、マクドナルドがお手頃感という評判を取り戻すのには役立つかもしれないが、店舗のオーナー(加盟店)はそれを販売して納得のいく利益を上げなければならないのだ。
こうした局面において、マクドナルド本社と加盟店の利害が一時的に対立することがある。親会社が徴収する賃料やロイヤルティは、主に売上高に連動する。一方で、加盟店はその売上を生み出すための食材費、人件費、光熱費などのコストを自ら支払っている。したがって、客数を増やすプロモーションは本社レベルでは成功しているように見えても、加盟店側の1客あたりの利益(客単価利益)を圧迫することになり得る。だからといって、低価格戦略が間違いであるわけではない。消費を控えている顧客との接点を維持するために、マクドナルドには手頃な価格の商品が必要だ。
だが、客数減少の問題をいつまでも値引きだけで解決することはできない、というのもまた事実である。加盟店には、再建への投資を賄うのに十分なキャッシュが手元に残る必要があるのだ。
もし店舗オーナーが約束された4年での回収を達成できれば、「NEXT」はシステム全体を強化できる。しかし達成できなければ、改装の遅れや地域ごとの価格設定のばらつき、店舗運営の質の低下といった形でその弊害が表面化することになる。直営店が加盟店へ売却されることで、財務上のリスクはマクドナルド本社の帳簿から消えるかもしれないが、最終的にはブランド全体のパフォーマンス低下という形で跳ね返ってくるのだ。


