複数のグローバル市場でビジネスを展開してきた中で、私が学んだ最も大きな教訓はシンプルだ。それは「すべての市場は異なる」ということである。さらに重要なのは、その違いに抗うのではなく、受け入れることを学んだ点だ。
海外展開の初期段階では、ある市場でうまくいった戦略があると、それを別の市場にもそのまま持ち込もうとするのが私の本能だった。すでに何が機能するかが分かっているのだから、なぜわざわざ最初からやり直す必要があるのか、と。しかし、それこそがまさに問題なのだと、やがて気づいた。過去の成功体験は、「次の市場も前の市場と同じように動くはずだ」という思い込みを生み、不利に働くことがある。今日、私は新しい市場に参入する際、あえて自らを再び学ぶ立場に置くようにしている。
私はもともと、人々や文化、そしてなぜ市場がそれぞれ異なる動きをするのかに強い好奇心を抱いている。そのため、一からやり直すことは負担ではなく、新たな挑戦であり、学ぶ機会なのだ。同じようにグローバル展開を目指すリーダーに向けて、いくつかのヒントを紹介したい。
成功を「コピー&ペースト」することはできないと知る
フランスで私はこの教訓を身をもって学んだ。欧州展開の初期、フランスは魅力的な参入市場に見えた。私たちはあまりにも強引に動き、売上の創出ばかりに注力してしまった。価格設定やパッケージング、ポジショニング、そして全体的な価値の伝達に十分な注意を払わなかったのだ。売上は上がったものの、私が望んでいた長期的な基盤を築くことはできなかった。最終的に私たちは撤退し、アプローチを再評価した。フランスという市場に問題があったのではない。フランスに対する当社のアプローチが問題だったのだ。
ポーランドでの展開が異なったのは、私たちの行動が異なったからだ。私は現地を訪れて時間を過ごし、現地のパートナーと緊密な関係を築いた。ローカライズは、単なる翻訳の域をはるかに超えるものとなった。私たちは、言葉遣い、パッケージ、オファー、コミュニケーション、および長期的な戦略を見直した。他国で成功したマーケティングでさえ、土台ではなく補足資料として位置づけた。以前なら「成長の遅さ」と解釈していたかもしれない事象を、今では「計算された確実な成長」として捉えられるようになった。問いは「どれだけ早く売れるか」から「5年後、10年後もここに留まりたいなら、今何を築くべきか」へと変わった。
各市場における信頼構築の方法を学ぶ
信頼のあり方は国によって異なることも学んだ。私が携わってきた米国市場では、マーケティングや知名度、ソーシャルプレゼンスに大きな重きが置かれるのを目にしてきた。一方、参入した欧州のいくつかの市場では、第三者による検証、専門的な信頼性、詳細な情報に対してより高い関心が寄せられた。また、アジアでの経験はさらなる側面をもたらした。アジアでは人間関係やネットワークが特に重要な役割を果たすことがある。しかし、アジアやその他の広大な地域を一つの単一市場として捉えてはならないことも学んだ。ある国での関係が他国への扉を開くことはあっても、現地での学習を一からやり直す必要がなくなるわけではない。
規模を追求する前に、適切なパートナーを見つける
優れたグローバル代理店に対する私の定義は大きく変わった。かつては、代理店の主な役割は単純に「在庫を購入し、需要を満たすこと」だと思っていた。しかし現在、私はより深いものを求めている。最も規模の大きい潜在的パートナーが、自動的に最善のパートナーになるとは限らないと学んだ。大企業は膨大なリソースをもたらしてくれるが、その確立されたシステムが、新興企業の戦略に必ずしも適合するとは限らないからだ。
ある地域を調査していた際、書面上では完璧に見える大企業に何社か出会ったが、どこか腑に落ちないものを感じた。自分の直感を信じて身を引き、探し続けた。最終的に、私たちのビジョンを真に共有し、当社の教育プログラムをすべて完了するなど行動でそれを示してくれるパートナーに出会うことができた。この経験により、現在私が優先していること、すなわち方針の一致、コミュニケーション、適応力、そして長期的なビジョンの共有の重要性が再確認された。海外展開には障害がつきものであり、課題に直面したときに密接に協力し合えるパートナーが不可欠だ。ふさわしい人材やパートナーを見つけるためなら、待つ価値は十分にある。
市場が発しているサインに耳を傾ける
私は、展開のスピードが速すぎることを示すシンプルな警告サインを定めている。それは「すべての会話が価格の話になったとき」だ。これには注意を払うようにしている。
価格は重要だ。しかし、価格が議論を支配しているときには、価値を伝えるための下地作りが十分にできているかを自問するようにしている。その答えは、さらなる値引きではないこともある。必要なのは、より徹底した下地作りだ。レビュー、推薦の声、紹介、そして私たちが直接知らない人々からの問い合わせが届き始めたとき、真のトラクション(牽引力)が生まれていると確信できる。また、現地のパートナーが自ら新しいチャネルを開拓し、機会を創出しているかどうかも観察している。そうなれば、もはや自社が力ずくで押し進める必要はない。市場が自ら引き込み始めているのだ。
新しい市場に参入する前に3つの質問を投げかける
もし、ある創業者が別の国に進出したいと私に言ってきたら、まず次の3つの質問を投げかけるだろう。
実際に現地に足を運んだか
私は、ビジネスを築こうとする市場を実際に訪れるべきだと信じている。人々に会い、耳を傾け、現場でビジネスがどのように行われているかを理解するのだ。スプレッドシート上では完璧に見える市場でも、あなたのビジネスに適しているとは限らない。
現地にどのような人間関係があるか
実際に誰を知っているだろうか。その関係はどれほど深いだろうか。あなたの前提や思い込みに対して、異議を唱えられるほど現地市場を深く理解している人物はいるだろうか。
なぜ参入するのか
単なる新たな販売チャネルを求めているのか、それとも長期的にその地で何かを築き上げる覚悟があるのか。私にとって長期的な展開とは、大きな見返りを期待する前に、人間関係、教育、現地の知識への投資を行うことを意味する。
再び初心者に戻る
私はかつて、パートナーを急いで選びすぎたり、高揚感に流されて意思決定を行ったりしたことがあった。また、アプローチが機能していない時期を見極め、自らの誤りを認め、身を引いて方向転換することも学んだ。グローバル展開には、絶え間ない学習、注意深さ、そして適応が求められる。企業が成功を収めれば収めるほど、何が効果的かをすでに知っていると思い込みがちになる。新しい市場に参入する際は、常に自分を学習者の立場に戻すことだ。その挑戦を受け入れ、それを楽しむ術を身につけよう。



