テクノロジー

2026.09.29 16:00

ロボットアームが光学実験を自ら組み立てる、MITの研究でロボットの器用さに弾み

stock.adobe.com

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ボストンでは大きなニュースになっており、その反響は地元の外にも広がっている。新たな実験装置が示しているのは、将来のロボットが、センサーや鏡、カメラなどの部品を使って複雑な光学実験を組み立てられるようになる姿である。これによって、量子力学(後ほど触れる)をはじめ、さまざまな研究が前に進む。

この研究が行われているのは、マサチューセッツ工科大学(MIT)の電子工学研究所(RLE)である。研究を共同で率いるポスドク研究員のサチン・ヴァイディアらが、光や電磁気力がかかわる実験の準備をどう自動化するかに取り組んでいる。

「新しいロボット実験室は、標準的な光学部品を自律的に組み立て、求められる配置に仕上げる」と、MITの公式ニュースサイト「MITニュース」の記者ジェニファー・チューは、9月17日付の記事に書いている。「その上で、鏡やレンズの角度と位置をミクロン(1000分の1ミリ)単位の精度で調整し、特定の性質をもつ光のビームを作り出せるる。さらにこのシステムは、ある実験装置を安全に解体し、その部品をまったく新しい装置に組み直すこともできる」。

研究者が遠隔から利用できる点も、大きな意味をもつ。

AIは夜通し働き、毎日パーティーもできる

とはいえ、この研究の本質的な意義は自動化にある。AIの可能性を幅広く調べてきた人なら予想がつくとおり、自動化によって優秀な人材の手が空くのだ。

チューの記事に引用されている、MITのセシル・アンド・アイダ・グリーン記念物理学教授マリン・ソリャチッチの言葉が、この点を最もうまく言い表していると思う。

「これによって可能になることはたくさんあります」とソリャチッチは説明する。「ロボットは退屈しません。1年365日、1日24時間、とても退屈な作業を続けられます。そのおかげで科学者は、たくさんの創造性と時間を、理論を推し進めて何ができるかを試すことに回せるようになります。科学はずっと速く進歩するかもしれません」。

上の小見出しがロックンロール調になったのは、ご容赦いただきたい。科学とは、数多くの成果を積み重ねて進む営みである。今回の進展は、AIがその科学を新たな高みへ押し上げうることを示している。

7つの関節を持つアームが部品を配置、収納ケースにはQRコード

チューは、このロボット実験室の有用性と仕組みを次のように説明している。

「研究チームのロボット実験室の中心にあるのは、金属製の天板に取り付けられた、7つの可動関節をもつロボットアームである」と彼女は書いている。「ロボットはレンズや鏡などの光学部品をつかんでは、所定の位置に置いていく。部品は1つずつ、研究者が3Dプリンターで作ったプラスチック製のハウジング(ケース)に収めてある。ハウジングは、ロボットが各部品を簡単かつ安全につかんで動かせるように設計されている。研究者は各ハウジングの上面に、中の部品の情報を記録したQRコードを刻んだ……各ハウジングには磁石付きの台座があり、アームが部品を金属製の天板に置いたあと、部品を安定させる働きをする」。

開発チームは、画面上で部品のアイコンを動かすだけでロボットに指示を出せるユーザーインターフェースも作った。自動化された工程の中に人間が加わり、ロボットを直接操れるようにするためである。こうした仕組みは「ヒューマン・イン・ザ・ループ」(human in the loop)と呼ばれる。

次ページ > ロボットが組む光学実験、原子を操る量子力学の研究にも役立つ可能性

翻訳=酒匂寛

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