音楽

2026.09.27 12:15

初音ミク新EP『EMERGE M♡DE MIKU』、VOCALOID文化を世界へ広げる

VOCALOIDの初音ミクは、ライブでは3D映像の姿でステージに登場する。2024年10月にオランダで撮影。Photo by Paul Bergen/Redferns

VOCALOIDの初音ミクは、ライブでは3D映像の姿でステージに登場する。2024年10月にオランダで撮影。Photo by Paul Bergen/Redferns

世界的に知られるVOCALOID(ボーカロイド)アーティストの初音ミクが、コラボレーションEP『EMERGE M♡DE MIKU』を発表した。日本のVOCALOID文化と現代の欧米音楽を結ぶ作品だ。初音ミクは世界的に高い人気を持つVOCALOIDアーティストの1人で、バーチャルシンガーとして世界各地で公演を完売させてきた。ライブでは3D映像の姿でステージに登場する。2026年に米ロサンゼルスで開かれたアニメイベント「Anime Expo」では、この新プロジェクトが初公開された。

初音ミクを生み出したクリプトン・フューチャー・メディアの代表取締役、伊藤博之は、2026年春の北米15都市ツアーで約10万人を集めたと語る。レディー・ガガとの共演からポケモンとのコラボレーションまで活動は幅広い。「初音ミクの活動は、作品をオンラインで共有する世界中のクリエイターに支えられている」と伊藤は説明した。

日本のVOCALOIDプロデューサーと海外アーティストが新EPを共同制作

新EPには、グライムス、Odetari、MOLIY、George Clanton、フロスト・チルドレン、slayr、XAMIYA(ザミヤ)が参加している。日本からは、高い評価を受けるVOCALOIDプロデューサーのjon-YAKITORY、さたぱんP、piccoが加わり、初音ミクとオリジナル曲を制作した。海外のアーティストと日本のVOCALOIDプロデューサーを組み合わせ、初音ミクをより幅広い海外の聴き手に届ける試みだ。

さたぱんPは「世界一流の音楽家とスタジオで作業し、それぞれが持ち込んだ新しい発想の良さを組み合わせることで、全く新しいものを生み出せた」と語る。「刺激的な『BEYOND BORDERs』プロジェクトと、歴史的にはまだ若いVOCALOID音楽を通じ、芸術としての音楽を世界の人々にとってさらに意義あるものにしたい」と述べた。

新EPに先立ち、初音ミクはグライムス、さたぱんPとの「Miku-Maxxing」を発表した。slayr、XAMIYA、piccoとの「Light」、Odetari、さたぱんPとの「Party Monster」も公開している。これらの先行曲は初音ミクの世界的な知名度をさらに高めた。今回のEPは、VOCALOIDを主流の音楽文化へ広げた草分け的なバーチャルアーティストの1人として、初音ミクを改めて世界へ紹介する作品でもある。

初音ミクは2007年に登場して社会現象となり、その後も人気を保ちながら大きなファン層を築いてきた。Fortnite、ポケモン、Just Dance、トヨタなどとのコラボレーションも実現している。

ドワンゴが進める「BEYOND BORDERs」は、日本の先駆的なクリエイターと海外のアーティスト、プロデューサー、ソングライターを結び、VOCALOID文化を新たな層へ届けるプロジェクトだ。このEPで最も意外なのは、「BEYOND BORDERs」が文化庁の「クリエイター支援基金」の助成を受ける事業の一環として進められている点だ。グライムスは、初音ミクをめぐる活動がファンだけでなく日本政府からも支援を受けていると知り、驚いた。

伊藤は「『BEYOND BORDERs』を通じ、異なる背景を持つクリエイターが地域や言語の壁を越えて出会い、ともに新しい音楽を生み出す姿を見られて心からうれしい」と語った。

EPの中心曲「All Mine」には、ガーナ出身のシンガーソングライターMOLIYが参加している。MOLIYと初音ミクという個性の異なる2つの歌声を組み合わせ、新しいサウンドを生み出した。piccoがプロデュースした「All Across The World」では、米国の電子音楽家兼歌手George Clantonと共演している。「Choosy」では米国のポップデュオ、フロスト・チルドレンと組み、jon-YAKITORYがプロデュースを担当した。

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