多くの実績あるプロフェッショナルにとって、ミッドライフ(人生の折り返し地点)は「危機」ではない。それは、成功、存在価値、そして目的を再定義することを求める「岐路」なのだ。
数年前、60代前半の男性からコーチングの依頼を受けた。彼は金融、起業、取締役会での役職、フィランソロピーにまたがるキャリアを築き、その過程でニューヨークで家族を育ててきた。表面的には、すべてを手にしているように見えた。しかし内面では、社会との接点を保ち続けられるのかという不安が凝り固まり、それが自信、活力、自分が何者であるかという感覚を静かにむしばんでいた。
ここでは彼をアダムと呼ぶ。最初のセッションに来たとき、彼は自分がすでに答えを知っていると確信していた。もう一度、勝てるチームの一員になりたい。そのため、数十年前に勤めていた会社へ戻る話し合いを進めていた。かつて尊敬され、価値を認められていた場所である。彼にとって残る問題は、その条件をどう組み立てるかだけだった。
私はこのパターンを何度も見てきた。40代半ばから60代半ばの人々が、すべきことをすべて正しくやってきたにもかかわらず、いま奇妙なほど道に迷っている。成功をもたらしたやり方を続けることが、もはや合わなくなっているのだ。なぜなら、それに伴って得られる収入や地位のために、健康、睡眠、家族を犠牲にし続けることを望まなくなっているからである。それでもなお、彼らは目的を求めている。自分が意味ある存在でありたいと望んでいる。
これはもはや一部の人だけの悩みではない。人々はより長く労働市場にとどまるようになっている。米労働統計局によれば、2025年には65歳以上の米国人の19.1%が労働力人口に含まれていた。2000年の12.9%から上昇している。AARPの調査では、50歳超の労働者の24%が2025年に転職を予定していると答え、前年の14%から増加した。主な理由には、何かに貢献したい、より柔軟な働き方を求めたいという思いが含まれていた。長寿化、キャリアの長期化、産業全体を塗り替えるAI、バーンアウト、介護、優先順位の変化。これらすべてが、実績ある人々に同じ問いを突きつけている。これからどうするのか。
まず理解すべきなのは、この感情は失敗ではなく、成長の兆候だということだ。心理学者はこれを「歴史の終わり錯覚」と呼ぶ。1万9000人以上の成人を対象とした2013年の研究では、あらゆる年代の人が過去10年間で自分の性格や価値観、好みがどれほど変化したかを容易に認識できた一方で、これからの10年間でそれらがどれほど変化するかを一貫して過小評価していた。私たちは進化し続け、自分にとって重要なことも変化していく。32歳のときに選んだキャリアは、当時の自分にとっては正しい選択だったはずだ。それが今の自分に合わないと感じるのなら、それは過去の決断の過ちではなく、あなたがそれだけ変化し、成長したことを物語っている。
より難しいのは、アイデンティティの問題である。「次にどんな仕事をすべきか」という問いの下にはたいてい、「創業者、投資家、医師、マーケターなどではなくなったとき、自分は何者なのか」という問いが横たわっている。役割や肩書は、自分自身をどう見るかの中核になり得る。そのため、それらが脅かされると、存在そのものが揺らぐように感じられる。ここでのエゴは、傲慢さとして現れることは少ない。むしろ、かつての自分より劣る何かとして見られることへの静かな抵抗として現れることが多い。アダムに起きていたのもこれだった。以前の会社に戻ることは前進のように感じられたが、実際には次のアイデンティティを築くのではなく、過去のアイデンティティを守ろうとする試みだった。
このようなときこそ、意思決定に対して意図的かつ構造化されたアプローチをとることが役に立つ。私は仕事において、自身が「Path of Least Regret®(後悔を最小限に抑える道)」と名付けたフレームワークを使用している。これは、変化や意思決定に伴う感情的な旅路を、明晰さと自信を持って乗り越えるためのプロセスだ。このフレームワークには5つのフェーズがあるが、意思決定のフェーズは次の3つの問いに集約される。(1)自分は何を最優先(最適化)しているのか?(2)それぞれの選択肢についてどう感じているか、そしてその感情は自分の優先順位について何を示しているか?(3)決断が必要だったその時点で、最善の決断を下したと納得し、最も心の平穏を得られるのはどの道か?
アダムにとって、最初の問いが突破口になった。過去を再現することを最適化するのをやめ、自分がいまどのような人生を送りたいのかに正直になった途端、かつての仕事への関心は自然と薄れていった。彼は最終的に、スタートアップの共同創業に踏み出した。そして私にこう語った。「活力が湧いてくる。もう一度、ためらわずに自分自身でいられる。30年前のように、わくわくして目が覚める」
このプロセスを実践するのに、コーチは必ずしも必要ない。まずは、健康や夜の時間、自律性、創造的なエネルギーなど、自分が「もう犠牲にしたくないもの」を書き出すことから始めよう。次に、「今でも望んでいるもの」を明確にする。この段階にある人の多くは、かつての仕事をそのまま取り戻したいわけではない。求めているのは、貢献、挑戦、知的好奇心の刺激、収入、コミュニティ、あるいは社会的インパクトだ。それから、小さな実験を設計してみる。アドバイザーを1件引き受ける、ゲスト講師を務める、創業者のメンターになる、単発のプロジェクトでコンサルティングをする、記事を執筆して公開する、あるいは隣接する業界の人々と本音で語り合う。目的は、何かに本格的にコミットする前に、自分を生き生きとさせるものについてデータを集めることだ。最後に、再評価する。それはエネルギーを回復させるのか、それとも消耗させるのか。自分の強みを生かしているのか。経済的、感情的、人間関係の面で持続可能なのか。
この岐路において重要なのは、たいてい「これまで築き上げてきたアイデンティティをどう守るか」ではない。「今の自分が目指す姿にとって、何が調和し、目的意識をもたらし、持続可能なのだろうか」という問いである。
両者は異なる問いであり、まったく異なる場所へと導き得る。
本稿は、パルルの近刊でAmazonで1位を獲得したベストセラー書籍、『The Path of Least Regret: Decide with Clarity. Move Forward with Confidence.』 のテーマに着想を得た全12回のブログシリーズの第11回である。同書はハードカバー、電子書籍、本人朗読によるオーディオブックとして、Amazonおよび主要オンライン書店で入手できる。詳細は parulsomani.com/book で確認できる。
本シリーズの各投稿は単独でも読めるが、全体を通じて、読者が変化と意思決定に伴う感情の旅を、レジリエンスと意図を持って進めるよう後押しする。過去の記事は、パルルのForbes寄稿者ページで読むことができる。



