AIはもはやテクノロジーチームの領域を超え、企業がどこで競争するのか、どのように仕事を編成するのか、どこに資本を配分するのか、どのリスクを取る余地があるのかに至るまで、事業のあらゆる側面を形づくっている。こうした意思決定はいずれも、もともとテクノロジーチームが担うものではなかった。これは、AI戦略がCEOの中核的責任になったこと、そして2027年にはその重要性がさらに高まることを示している。
ボストン コンサルティング グループ(BCG)の最近の調査によると、「CEOの72%が現在、自社のAIに関する意思決定に直接責任を負っている」一方で、「そこから有意義な価値を生み出しているのは15%にすぎない」。問題を抱え込むことと解決することは同じではないのだ。リーダーは、この自信のギャップが現実の経営課題になる前に対処しなければならない。CEOは経営陣と協力し、自身の関与が実際にどのようなものになるのかを明確にし、どの意思決定を自らの手元に残し、どれを適切なチームリーダーに委ねるのかを決めるべきである。
AIへの圧力を機会に変える
デジタルトランスフォーメーション(DX)によって、すべての企業がテクノロジー企業のように稼働することを求められた際、多くの企業はすでにそれを実践している人材を採用することで対処した。エンジニアが技術的知識を持ち、経営陣が戦略を担うというこの分業体制が機能したのは、テクノロジーが依然として事業が「使う」ものにすぎなかったからである。だが今日に目を向ければ、AIは事実上その体制に終止符を打った。会社が何を売るのか、誰と競争するのか、もはや何を必要としないのか。AIはこうした問いを、経営陣に再評価させている。
CEOは、自社の業界にとって適切な答えを模索しなければならない。その際に念頭に置くべきは、価値は従来と変わらない仕事にAIを加えることから生まれるのではなく、仕事そのものを再設計することから生まれるという点である。マッキンゼー(McKinsey)の最近の調査では、ワークフローの再設計が、報告された最終利益への影響と最も強い関係を持つことが明らかになった。それでも企業は、AI投資を検証し理解するために、精査された戦略を持たなければならない。競争に遅れまいとして新たな取り組みを急いで導入する圧力は、高額な実験以上のものをほとんど生まない。IBMの2025年CEO調査では、CEOの64%が、その価値を明確に理解する前にテクノロジーへ投資する圧力を感じていた。同じ調査では、期待されたリターンを達成したAI施策は25%にとどまり、全社規模に拡大できたものはわずか16%だった。
経営陣は、いくつかの基本的な問いから始めることで、高額な実験段階を省くことができる。
・最大の機会は何か(どこに投資するのが合理的か)。
・どの実験は確実性が低く、小規模にとどめるべきか。
・もはや機能していないものは何か(どこでリソースを再配分できるか)。
・社内で構築できる、あるいは構築すべき能力はあるか。
文化の変革なしにAI戦略は機能しない
AI戦略は、企業文化にも根ざしているべきである。このような大規模な変革は、職務、キャリアパス、専門性、研修、そして人間とシステムの間の分業に影響を及ぼす。だからこそ、AI戦略は企業文化と切り離せないものであり、最終的にはそれが事業の成否を左右し得る。
「AIが仕事を消し去るのではないか」という従業員からの問いに備え、AI研修とスキル向上への投資で先手を打つ必要がある。さらに従業員は、ガバナンスと説明責任に対する懸念をますます表明するようになっており、企業のリーダーは答えと指針を用意しておかなければならない。AIストラテジストとして、こうした懸念を把握し、明確さと透明性をもって正面から対処することはCEOの仕事である。世界経済フォーラム(WEF)の報告によると、CEOの60%が、AIのエラーや不具合への懸念から意図的に導入のペースを落としたと述べている。
AIの価値創出で最初に投資すべき領域
前述のBCG調査は、CEOが自らのAI能力を高めるために費やす時間にも言及している。週に少なくとも8時間をAIの学習に充てるCEOは、有意義な価値を生み出す可能性が高いことがわかった。ただしBCGは、単に研修時間を積み上げることよりも、AIへの関与の質と目的の方が重要だとも警告している。さらに、従業員はそれに気づいている。彼らは経営陣の行動を注意深く見ている。AIを公然と推進しながら自らは使わないCEOは、そのテクノロジーが周辺的なものだというシグナルを送る。一方で、不注意にAIを使うCEOは、統制は任意でよいというシグナルを送る。言い換えれば、実践できないなら、語るべきではない。
自社のAI戦略を評価する
CEOはAIモデルの構築方法を学ぶ必要はないが、自身のAI能力を高めるために時間を投資すべきである。どこで実験が許容されるのか、どこで人間によるレビューが必須なのか、どこでAIの利用が不適切なのかを定義し、あなた個人のAIの使い方が組織の暗黙のAIポリシーの一部になることを忘れてはならない。目標は、AIの所有を最大化することではない。事業を差別化する自社のAI能力、データ、関係性を戦略的に監督することである。
AI戦略を評価する際に念頭に置くべき事項は以下の通りである。
・経営陣の責任者を割り当てる(あなた自身も含む)
・投資とガバナンスのプロセスを確立する(テクノロジー担当リーダーを関与させ続ける)
・戦略を全社に伝える(機能させるには全員が把握している必要がある)
・選定したワークフローの再設計に着手する(小さく始め、従業員に情報を共有し続ける)
・経営チームと定期的なレビューサイクルを設定する(設定して終わりではない)
・価値の低いパイロットを取り除く(「AIのためのAI」に結びつくものはすべて捨てる)
・従業員からのフィードバック専用チャネルを設ける
何よりもCEOは、AIリーダーシップは共有されるべきだが、自身の説明責任は委譲できないことを認識しなければならない。



