創業者やCEOから絶えず耳にする質問がある。「マーケティングにかつてないほどの費用を投じているのに、なぜ売上が伸びないのか」というものだ。答えはたいてい同じである。マーケティングは機能している。問題は、マーケティングがシステムの入口部分しかコントロールしていないという点にある。
優秀なマーケターはインプレッション、クリック、リーチ、ブランド認知を高めることができる。しかし、その後に何が起こるかについては制御できないことが多い。ナーチャリング(見込み客育成)シーケンス、コンバージョンプロセス、リテンションの仕組み、収益モデルのいずれも、彼らの管轄外である。オファー自体すら管理していない。多くの場合、彼らはプロダクトを渡され「これを売ってこい」と言われる。たとえそのポジショニング、パッケージング、価格設定が、狙うオーディエンスに合っていなくてもだ。彼らはファネル上部の指標を握っているが、その指標が売上に変換するシステムと接続されていなければ、それは虚栄の指標(バニティメトリクス)にすぎない。
ニールセンの調査によれば、マーケターの85%が投資収益率(ROI)を測定する能力に自信があると答えている。しかし、デジタルと従来型メディアの両チャネルにわたってROIを包括的に測定しているのは、わずか32%にすぎない。
これまで企業はどう対処してきたか
長年、既定の答えは人を増やすことだった。オペレーションを回すマーケティングマネージャー、有料チャネルの広告スペシャリスト、コピーライター、メールマーケター、ファネル構築担当、コンテンツクリエイター、セールスマネージャー、アフィリエイトマネージャー、さらにそのチームを束ねるマーケティングマネージャーといった具合だ。
しかし、完全なチームを揃えたとしても、各人が孤立して仕事をしていれば根本的な問題は残る。広告スペシャリストがメールマーケターと会話しなかったり、コンテンツクリエイターがセールスチームが商談で聞いている内容を知らなかったりすれば、全体像を把握する人が誰もいなくなり、創業者自身がそれをつなぎ合わせる羽目になりかねない。
時間の問題もある。4〜5人を雇うこと自体は一つの話だが、全員が自分の仕事を理解しており、各人の努力が連携し、そのアウトプットが意味のある成果に積み上がっていくよう管理することは、まったく別次元の課題である。チームの質は、創業者がどれだけ上手にそれを組み立て、管理できるかで決まる。うまくいかなければ、施策はばらばらになり、コストは上昇し、成長は当てずっぽうのようになる。
AIによって変わりつつあること
私が2018年に初めてのオンラインビジネスを本格的にスケールしようとしたとき、成長の唯一の方法は採用だった。新しいことをする必要があるたびに、答えは「さらに雇うこと」だった。それは機能したが、コストがかかり時間もかかった。人を管理し、彼らの仕事がつながっているかを確認するだけで、それ自体がフルタイムの仕事になっていた。
2026年に一人のオペレーターが使えるツールは違う。AIは今やコンテンツ制作、広告コピーライティング、メールシーケンス、ランディングページ、データ分析、レポーティング、ワークフローに至るまで支援できる。当時私が採用していた職種の多くを、適切なシステムと適切なAIスタックを持つ一人の人間が、今では自分でこなせる(ただし、使いすぎには注意し、コンテンツ制作におけるAI活用に関する各プラットフォームのポリシーを把握し、順守することも依然として重要だ)。
これは、いま創業者の間で起きていることを見れば、特に重要な意味を持つ。かつてないほど多くの人が、一人でビジネスを始めている。ナスダックによれば、一人会社の申請件数は2025年初頭から20%急増した。2900万人以上のアメリカ人がソロプレナー(一人起業家)として活動しているとされ、Zoomの調査では回答者の74%がフルタイムのスタッフを迎え入れずにビジネスをスケールさせたと回答している。
創業者にとっての意味
創業者にはたいてい、6つの異なるマーケティング職種をすぐに採用する予算や余力はない。しかし、一人を採用して適切なAIツールを装備させれば、大企業に対抗できるグロースシステムを構築することが可能になる。適切なAIスタックがあれば、その一人がかつて5〜6人のマーケティングチームがこなしていた仕事を担えるかもしれない。
私はこの役割を「AIグロースオペレーター」と呼んでいる。創業者はこのポジションを設けて、単にマーケティングを回すだけでなく、私が「フルスタック・グロースシステム」と呼ぶもの、すなわち初回接点からリピート購入、紹介に至る収益サイクル全体を構築・運用させることができる。この人材は、注目を集め、意欲を育て、需要を転換し、顧客をアクティベートし、収益を最大化し、顧客を流通チャネルに変えるまでのすべての段階を担うべきである。
このアプローチを採用する創業者にとって、成否はスキルにかかっている。これはひとつのビジネスに専念するフルタイムの役割であり、パートタイムのマーケティング採用ではない。インプレッションやクリックで評価される従来型のマーケターを探してはならない。収益サイクル全体を理解し、グロースあるいはパフォーマンスマーケティングの経験があり、すでにAIを使って構築している人材を探すことだ。
最も重視すべきスキルは判断力である。すなわち、どのAIツールを使うべきか、成長の各段階で優れたアウトプットとはどのようなものか、そしてそれらすべてをどうやって一つの連結したシステムに結びつけるかを知っていることだ。それは学ばなければ身につかない技能である。
最後に、この役割を成功させるためには、マーケティング指標ではなく売上で評価し、オファーそのものを含むサイクル全体のオーナーシップを与えることが不可欠である。
創業者はまた、AIには限界があり、成長する事業のニーズを満たすため、あるいは専門的な知見を提供するために、マーケティングチームの拡大が単純に必要になる局面もあり得ることを認識すべきである。
まとめ
今日のビジネスが勝つために、必ずしも最大のチームや最高の予算が必要なわけではない。鍵となるのは、グロースシステムのあらゆる部分が接続され、複利的に積み上がっていくようにすることだ。
私はオンラインビジネスの成長に10年以上を費やし、30社以上と仕事をしてきた。パターンは常に同じである。スケールする企業は、特別なことをしているわけではない。ただ、成長をばらばらのマーケティング活動の集合体として扱うことをやめ、一つの連結したシステムとして扱い始めたにすぎない。そしていま、AIによって、創業者が成長のための採用のあり方を再考すべき瞬間が訪れている。



