これまでに何度も目にしてきた光景がある。白い砂浜の上、揺れるヤシの木の下に、明らかにビジネスエグゼクティブと思われる男性が座っている。穏やかな風が吹き、足元にはターコイズブルーの波が打ち寄せている。彼は、新鮮なパイナップルと小さな紙の傘が添えられたトロピカルドリンクをすすり、その傍らで家族は貝殻を探しながらビーチを歩いている。
しかし、彼は周囲の美しい景色を楽しむために顔を上げることもほとんどない。
代わりに、彼は膝の上のノートパソコンに没頭し、メールに返信し、Teamsの会議に参加し、提案書を承認し、売上ダッシュボードを何度も更新している。
彼は「ちょっと様子を見ているだけだ」と自分に言い聞かせている。しかし私の見解では、これは大きな間違いである。
休暇の目的は、仕事をすることではない。休暇の目的は、英気を養い、将来の燃え尽き症候群を防ぐことだ。もし常に心がオフィスに残っているのなら、それは休息を取っていることにはならず、自分自身をケアしていることにもならない。
休息への投資
これは私だけの意見ではない。数々の研究がそれを明確に示している。
学術誌『ジャーナル・オブ・アプライド・サイコロジー(Journal of Applied Psychology)』に掲載された、32の研究を対象とした最近のメタ分析では、休暇が従業員のウェルビーイングを著しく向上させることが結論づけられた。その中でも、突出して重要な要因が1つあった。研究者らは、「休暇中の仕事からの心理的切り離しと身体活動が、従業員のウェルビーイング向上に最も有益である可能性がある」と記している。
ある研究(ノースカロライナ大学シャーロット校によるもの)では、「休暇の取得には長期的な効果があり、仕事に復帰した後も、平均43日間にわたって従業員のウェルビーイングとパフォーマンスが向上する」ことが明らかになった。
つまり、仕事から離れることはぜいたくなどではなく、投資なのだ。さらに、研究では必ずしも測定されない別のメリットもある。私自身、仕事のことを完全に考えるのをやめたときに、最高の「ひらめき」が訪れた経験がある。異なる文化に触れたり、新しい人々と出会ったり、あるいは単に脳の働きをスローダウンさせたりすることで精神的な余裕が生まれ、画期的なアイデアが芽生えることがよくあるのだ。
リーダーの本当の責任
では、なぜこれほど多くのエグゼクティブが、仕事から切り離されることを難しく感じるのだろうか。多くのリーダーにとって、常に連絡が取れる状態を維持することは責任感の表れのように感じられる。だが現実には、それは別の問題を露呈していることが多い。
私の会社では、私が不在だからといってビジネスが立ち行かなくなることはないと確信している。私のチームは、ただ指示を待つだけではない。自ら問題を解決し、アイデアを出し、十分な情報に基づいて意思決定を行い、会社を前進させ続けている。休暇から戻ると、課題は私なしで解決されており、処理すべき仕事が山積していることもない。
もし、あなたが1週間不在にするだけでビジネスが崩壊の危機に陥るのだとすれば、問題は休暇を取ること自体にはない。リーダーシップに問題があることが露呈しているのだ。リーダーシップとは、自分がどれほど不可欠な存在であるかではなく、自分がいないときにどれほど物事が円滑に進むかによって測られるものである。
休暇中であるはずの時に絶えず連絡を入れていては、チームに対して全くの誤ったメッセージを送ることになる。それは「自分の監視なしでは、あなたたちに仕事を任せられない」と伝えているようなものであり、士気を低下させる。不在の間、チームに意思決定の権限を移譲する必要がある。さもなければ、あなた自身がボトルネックになってしまうだろう。
休暇を有意義なものにするために、最も効果的な計画を立てる方法は以下の通りだ。
計画を周囲に知らせる
主要なクライアントに対し、休暇期間中は連絡が取れなくなることをあらかじめ伝えておく。不在時の自動応答メッセージや、グループミーティングの場でも、具体的な日程を明記する。
代理の連絡先を指定する
「休暇中ですが、何かあれば連絡してください」と言ってはいけない。本当に連絡をしてくる人があまりにも多いからだ。
代わりに、例えばこのように伝える。「不在中、業務上の決定についてはジェーンがすべての権限を持っています。緊急事態に該当する場合のみ、彼女から私に連絡が入ることになっています」
このシンプルなメッセージによって、自分の休暇が守られるだけでなく、実際にチームを信頼しているという姿勢を示すことができる。
言行を一致させる
CEOは従業員に対して「休暇を楽しんでほしい」と言いがちだが、自分自身がビーチからメールに返信することで、悪い手本を示してしまう。これでは、「真のコミットメントとは、決して仕事のスイッチを切らないことだ」という企業文化を植え付けることにしかならない。
休暇とは、ビーチの椅子からでもビジネスを運営できることを証明するための時間ではないはずだ。
例外となる基準を明確にする
では、本当に緊急事態が起きたらどうすべきか。当然、あなたの関与が不可欠な危機が発生することもある。何が本物の緊急事態で、何が復帰するまで待てることなのか、その違いをチームにしっかりと周知させておくことが重要だ。
まとめ
テクノロジーの発達により、私たちはビーチや豪華客船、あるいは登山中でも――文字通り(「バーチャルに」という言葉をかけて)地球上のどこからでも仕事ができるようになった。しかし残念なことに、それは「どこにいても仕事をやめられない」という状況も生み出している。多くのリーダーにとって、休暇とはオフィスをより魅力的な背景の場所へと移しただけにすぎなくなっている。これは、あなた自身やあなたの家族、そして従業員にとっても決して公平なことではない。
より優れたスキルとは、休暇中に仕事をしないために「いつテクノロジーを使わないか」をわきまえることだ。自分が不在であっても、少なくとも短期間であれば円滑に回るビジネスを築き上げたこと。それを証明することにこそ、真の強さがあるのだ。



