ドナルド・J・トランプ財団の税務申告書によると、同財団は2009年から2013年(入手可能な最新データ)の間に298のチャリティに550万ドルを寄付している。その中で、退役軍人やその家族に直接関わる7つの団体に寄付されていたのは総額で57,000ドル(約700万円)だけだった。尚、この7つの中にWounded Warrior Foundationは含まれていない。
また、45億ドルの資産を持つトランプ個人から、同期間に自分の財団に対しての寄付はなかったこともわかった。このことについて、トランプの広報担当者にコメントを求めたが、本記事の投稿までに回答を得ることはできなかった。
参考までご紹介すると、トランプと同じくニューヨークを拠点とするもう一人の不動産王ジェリー・スペイヤーはフォーブスの予想では総資産44億ドルを保有していて、スペイヤー・ファミリー財団を主催、同財団の税務申告書によれば2009年から2013年の間に2350万ドルの寄付を行っている。そして、スペイヤー本人も、同財団に6,103,368ドル(約7億4,000万円)を寄付している。
クイニピアック大学が12月2日に実施した世論調査によれば、トランプは依然として共和党候補で支持率トップを走っている。トランプは11月30日にジョージア州メーコンで開かれた集会で「CNNがまともな待遇をしてくれない」と話し、CNNが500万ドルの出演料を払わなければ12月15日の討論会を欠席する意向をちらつかせた。しかしインターネット新聞ハフィントンポストによれば、CNNの社長ジェフ・ザッカーは、CNNは大統領候補の討論番組出演について出演料は支払っていない、としているという。
トランプは選挙戦を通じて軍隊に触れてきたが、最近ベトナム戦争で従軍しなかったことについてやましい思いがあることを認めた。
「私はこの国を愛しています。この国が多くのことを成し遂げてくるのを見てきました」と12月1日にニューハンプシャーで聴衆に向けて話した。「私は従軍しませんでした。従軍したことがありません。正直に言えば、私は徴兵を猶予された多くの大学生の1人だったわけですが・・・いつもそのことを少しやましく感じてきました」
トランプは更に、足に問題を抱えていたこと、抽選によって割り振られた徴兵順位が低かったことを従軍しなかった理由として付け加えた。
そして、7月18日にはアリゾナ州選出の上院議員ジョン・マケインはベトナム戦争中に捕虜になったからといって「戦争の英雄ではない」と発言。マケインは自分のように軍や退役軍人に関する問題に積極的に取り組んでもいないとした。
しかし、マケインは上院軍事委員会の委員長も務め、退役軍人自殺防止のためのクレイハント法を強力に推進、退役軍人省の改革にも尽力した人物である。
アメリカイラク・アフガニスタン帰還兵の会(Iraq and Afghanistan Veterans of America)の創始者兼代表のポール・リークホフは、7月にニューヨークタイムズ紙の取材に対し、「人知れず巨額の寄付でもしていない限り、ドナルド・トランプが退役軍人向け慈善事業のリーダー的存在だということはあり得ません」と語った。「当会はニューヨークで設立され、本部をニューヨークに置いています。もう10年になりますが、一度もここでドナルド・トランプを見かけたことがありません」。
一方、同じく7月にトランプ陣営はニューヨークタイムズに、トランプがWounded Warrior Foundation等の団体に寄付を行い、退役軍人や現役軍関係者を自身のゴルフコースに招いたりしていると語っていた。