新しい地域や垂直市場(バーティカル)への進出は成長への扉を開くが、すでに確立された名声だけで通用する範囲には限りがある。新たなオーディエンスとつながるためには、ブランドはその特定の市場で本当に重要視されていることを理解し、彼らの関心と信頼を獲得する方法を見つけなければならない。
思慮深いアプローチをとることで、ブランドはすでに認知されている強みを維持しながら、新しい市場で親しみやすさを築くことができる。ここでは、Forbes Agency Council(フォーブス・エージェンシー・カウンシル)のメンバー17人が、未知の領域でブランド認知度を向上させる効果的な方法と、それが機能する理由を紹介する。
1. 地域特有のニュアンスに合わせる
普遍的なブランドの柱は、地域特有のニュアンスと接続する必要がある。ブランドを認識可能にしている要素を守ったうえで、現地の行動、文化、ニーズに合わせてメッセージを調整するのだ。一貫性は認知を築き、ニュアンスは関連性を築く。コピー&ペーストは機能であって、市場参入戦略ではない。 - モニカ・アルバレス=ミッチェル(Monica Alvarez-Mitchell)、Pulse Creative, LLC
2. 話題を呼ぶブランドモーメントをつくる
確立されたブランドが新市場に参入する際は、戦略的で話題性のある仕掛けを生み出すことに注力すべきだ。狙うべきは、オーディエンスに語らせることである。予想外のアクティベーション、大胆な提携、話題を呼ぶ瞬間のいずれであっても、目的は好奇心と会話を喚起することにある。適切に実行されれば、そのオーガニックな話題性が認知を生み、メディアの関心を獲得し、記憶に残る形でブランドを新市場に紹介できる。 - マリリン・カウリー(Marilyn Cowley)、PREM - PR & Social
3. 自己PRの前に専門知識を示す
新参者である間は、自分自身や自社ブランドのことは二の次だ。他の場所でいかに成功を収めたかを、新しい市場で自慢したいという誘惑に抗うことだ。自己PRをする前に、専門知識と理解を示す。与える者が得るのだ。 - アダム・テイラー(Adam Taylor)、Splendor
4. 隣接する課題を抱える層を狙う
効果的な方法の1つは「需要をせき止める」こと、つまり自社の存在を知らないものの、自社が解決できる課題を抱えている人々をターゲットにすることだ。好例が、新型コロナウイルス流行が始まった際、ペロトン(Peloton)が「ホームジム」を検索する人々を狙ったことだ。当時、エクササイズバイクを検索する人は多くなかったが、異なる領域だが類似の課題を抱える人々をターゲットにすることで、ブランド認知度を高めることができた。 - アラミンタ・ロバートソン(Araminta Robertson)、Mint Studios
5. 信頼できる現地の声から信頼を借りる
新しい市場で認知度を高める最も早い方法は、ゼロから信頼を築こうとするのではなく、信頼を「借りる」ことだ。すでに信頼性を確立している、現地の著名な発言者や顧客、あるいは業界団体と提携するのだ。信頼できる情報源からあなたのブランドについて耳にすると、広告だけの場合よりもはるかに早く受け入れられる。 - ソロモン・ティモシー(Solomon Thimothy)、Clickx
6. オーディエンスの重複を見つける
まずは、ブランドの既存の市場と新しい市場との間での、オーディエンスの重複を特定することから始めよう。共通のニーズ、行動、アイデンティティのシグナルは、信頼できる参入点を提供する一方で、現地のインサイトはメッセージが関連性を得て信頼を勝ち取るためにどこを調整すべきかを明らかにする。これが機能するのは、ブランドが既存の資産を活かしつつ、自社の名声や関連性が自動的に引き継がれるとは想定しないからだ。 - ポーラ・キオッキ(Paula Chiocchi)、Outward Media, Inc.
7. 生身の人間と関係を築く
人はブランドではなく、人を信頼する。ソーシャルメディアでオピニオンリーダーを活用した「ソートリーダー広告」が機能するのは、この人間心理を利用しているからであり、LinkedInにおける最も効率的な広告フォーマットの一つとなっている。オフラインでも同様だ。イベントやコミュニティは、実際に人々と出会い、彼らの役に立つ機会を提供してくれる。真の関係を築き、価値あるものを提供できれば、ブランドの認知度は自然とついてくる。 - マット・ジェイソン(Matt Jayson)、Multiply
8. 特定のオーディエンス課題を軸にコンテンツを構築する
幅広い認知度向上キャンペーンを開始するのではなく、明確に定義されたオーディエンス課題を一つに絞り込むことから始めよう。現地の検索行動や顧客の言葉を研究し、そのニーズに応える有用なコンテンツを構築する。他所で機能したメッセージを持ち込むよりも、関連性の方が早く注目を集める。 - ジェイド・バーソロミュー(Jade Bartholomew)、Sierra Six Media Limited
9. 小規模なクリエイターに製品をギフティングする
予算が許すなら、クリエイターやナノ・マイクロインフルエンサーに製品をギフティング(無料プレゼント)することは、未知の市場で認知度を高める費用対効果の高い方法となり得る。有償のキャンペーンコストをかけることなく、さまざまなニッチやオーディエンスを持つクリエイターに製品を紹介し、実際に試して、うまくいけばオーガニックに共有してもらう機会を提供できる。 - バーナード・メイ(Bernard May)、National Positions
10. 市場をリードしようとする前に、まず市場を学ぶ
新しい市場やオーディエンスを惹きつけようとする前に、それらを深く理解しなければならない。あまりにも多くのブランドが、自国でトップだからといって、世界の他の場所でもトップになれると考えがちだ。しかし、市場でのリーダーシップはスーツケースに入れて持ち運べるものではない。新しい市場を制するブランドとは、リードしようとする前にまず市場を学ぶという謙虚さを備えたブランドである。 - ヘルナン・タグリアーニ(Hernan Tagliani)、Tagliani Multicultural
11. 関心を買う前に、まず信頼を獲得する
新しい市場でブランド認知度を構築する最速の方法は、関心を買う(広告を出す)前に、まず信頼を獲得することだ。その分野の業界誌、ポッドキャスト、顧客パネルなどに自社の技術専門家をまず登場させよう。バイヤーはすでに愛読しているメディアを信頼している。また、それらをソーシャルメディアで再利用すれば、一時的にオーディエンスを借りる(広告枠を買う)のではなく、精査された独自のオーディエンスを獲得できる。これは、私たちが進出したすべての新しいバーティカルにおいて、有償の認知度向上施策を上回る成果を上げてきた。 - クリスティーン・ウェッツラー(Christine Wetzler)、Pietryla PR & Marketing
12. 繰り返される前向きな体験で親近感を育てる
人気ではなく、一貫性を証明することで認知度を高めよう。拡大する前に、1つの都市、業界、顧客グループに集中し、同じ価値ある体験を提供するのだ。地域のワークショップ、実用的な調査、無料診断は、長く続く会話を生み出すきっかけになり得る。このアプローチは、広範な露出ではなく、繰り返される前向きな体験を通じて親近感が育つため、市場浸透を強化する。 - ヴァイバブ・カッカー(Vaibhav Kakkar)、Digital Web Solutions
13. 地域に根差しAIに発見されやすいコンテンツに投資する
現地のバーティカル市場に向けたコンテンツ(自社メディアおよび他社メディアの双方)に早期から投資し、その市場のバイヤーが実際にAIに質問する際のプロンプトに表示されるようにしよう。回答エンジン(AI検索)は、比較ページ、レビュー、信頼できる現地のクリエイターやジャーナリストによる第三者記事を引用する。認知度向上のためのメディアに投資する前に、現地における信頼性のシグナルで足元を固めるのだ。 - リオール・エルダン(Lior Eldan)、Moburst
14. 既存ファンのブランド支持を獲得する
効果的な認知は買えない。獲得する必要がある。地域をまたいで自社のファンを特定し、その声を増幅する。自社のファンと、そのファンにとって役立つ存在になることだ。まず信頼を獲得し、そのうえに積み上げるのである。 - リー・カラハー(Lee Caraher)、Double-Forte
15. メッセージングテーブルでコアメッセージの一貫性を保つ
同じ主張を繰り返すことは、決して退屈なことではない。それは、自社ブランドと、自社が独占したいアイデアとの結びつきを強めるのに役立つ。重要なポイントとそれを証明する根拠(ファクト)をまとめた「メッセージングテーブル」を作成し、現地のチームと共有しよう。これにより、ブランドが知られるべきコアアイデアを損なうことなく、現地の市場に合わせてメッセージを柔軟に適応させることができる。 - ナタリヤ・アンドレイチュク(Nataliya Andreychuk)、Viseven
16. リーチよりも関連性を優先する
新たな地域や業種への進出は、地理よりも関連性の問題である。デジタルメディアとソーシャルメディアによって、ブランドが新たなオーディエンスに到達することはかつてないほど容易になったが、成功はその市場のニーズ、課題、価値観に響くメッセージを届けられるかにかかっている。適切な戦略、クリエイティブ、価値提案があれば、ブランドは実質的にどのような新市場でも、効果的に認知度と信頼性を確立することができる。 - ジェシカ・ホーソン=カストロ(Jessica Hawthorne-Castro)、Hawthorne Advertising
17. カテゴリー参入ストーリーを先行させる
一般的なブランドキャンペーンではなく、カテゴリー参入(カテゴリーエントリー)ストーリーから始めよう。自社の提供する製品やサービスが解決する現地の不満や葛藤(テンション)を特定し、すでにオーディエンスからの信頼を得ているインフルエンサーと提携し、規模を拡大する前に狭い地域でメッセージをテストする。ブランドが市場を理解していることを示せば、親近感はより早く獲得できる。 - ナターシャ・グレイ(Natacha Grey)、SWOON MEDIA



