経営・戦略

2026.09.25 20:33

価格戦略は最大の成長レバー、だが多くのB2Bリーダーが活用していない

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B2B企業の経営陣が成長を加速させる方法を模索する際、ほぼ直感的に目を向けるのがセールスとマーケティングだ。営業担当者を増員し、広告支出を増やし、リードジェネレーション(見込み顧客獲得)に多額の投資を行う。しかし彼らは、収益性を向上させる唯一無二の最も強力なレバーである「価格戦略」を、日常的に見過ごしている。

私がB2Bリーダーと話すなかで、価格設定は戦略的資産ではなく、管理業務上の後回し事項として扱われることが多い。価格は過去の前例、競合ベンチマーク、あるいは単純なコストプラスのマークアップに基づいて設定され、インフレによって対応を迫られるまで、見直されることはほとんどない。

こうした受け身の価格設定は、莫大な収益機会を取り逃がすことにつながっている。顧客獲得コストの上昇と経済の不安定さを特徴とする2026年の市場において、B2B企業はもはや、価格を料金表上の固定的な数字として扱う余裕はない。価格設定は、動的なケイパビリティにならなければならないと私は考える。

価格決定力がもたらす数学的効果

価格設定を正しく行うことのインパクトは、数学的に極めて大きい。マッキンゼー(McKinsey)の基礎的な研究は、販売量が安定していると仮定した場合、平均して1%の値上げが営業利益の8.7%増につながることを示した。このインパクトは、変動費を1%削減した場合よりも約50%大きく、販売量を1%増やした場合の3倍超にあたる。

それにもかかわらず、価格設定は依然として盲点であり続けている。SAPによるB2B価格設定の分析は、多くの企業が今なおコストプラス価格設定、すなわちコストを計算して標準的な利幅を上乗せするだけの方法に依存していることを指摘している。これは簡単で、すぐに利用できるデータに基づけるためである。

コストプラス価格設定の問題は、自社製品が顧客にもたらす価値を完全に無視している点にある。自社のソフトウェアが顧客の運用コストを年間100万ドル(約1億5900万円)削減するにもかかわらず、提供コストが3万ドル(約477万円)だからという理由だけで価格を5万ドル(約794万円)に設定しているなら、それは重大な戦略上の失敗である。創出している価値のごく一部しか獲得できていないのだ。

静的な価格設定から戦略的な価格設定への移行

価格設定が持つ利益ポテンシャルを引き出すには、B2B組織は静的でコスト基準のモデルから、動的で価値基準の戦略へ移行しなければならない。そのためには、商業組織の運営方法を根本から組み替える必要がある。

1. 価格を定量化可能な価値に結びつける

価値基準の価格設定には、顧客のビジネスモデルに対する深い理解が必要である。自社製品が、収益創出、コスト削減、リスク軽減のいずれを通じて、顧客の最終損益にどのような影響を与えるのかを、正確に定量化できなければならない。

営業チームが、自社ソリューションは投資に対して10倍のリターンをもたらすと自信を持って説明できるようになれば、会話の焦点は価格から価値へと移る。そのためには、一般的なマーケティング上の主張を超え、実際の顧客データに基づく堅牢なROIモデルを構築する必要がある。

2. ダイナミックプライシング機能を導入する

年に1度だけ価格を設定する時代は終わった。不安定な市場では、価格設定は状況の変化に対応できなければならない。これは、消費者向け航空会社のようなリアルタイムのサージプライシングを採用するという意味ではない。だが、サプライチェーンの変化、競合の動き、マイクロセグメントごとの需要に基づいて価格を調整できるデータ基盤を持つことを意味する。

サイモン・クッチャー(Simon-Kucher)が指摘するように、価値基準の価格設定により、企業は単にインフレを理由にするのではなく、顧客が納得できる形で値上げを正当化できる。

3. 割引ではなく、データで営業チームに権限を与える

多くのB2B組織では、営業チームに与えられている主要な価格設定ツールは、割引権限である。これは、営業担当者がノルマ達成のために利幅を販売量と引き換えにする、底辺への競争を生み出す。

営業担当者に割引権限を与えるのではなく、データを与えるべきである。類似する勝敗シナリオに基づいて価格ガイダンスを提示する、動的な案件スコアリングを提供する。価値を証明することで価格を守れるよう、分析ツールを備えさせるのだ。

4. 価格設定の専門部署を設立する

価格設定は、財務チームやプロダクトマーケティングチームが片手間で担うには重要すぎる。急成長を遂げているB2B企業では、データサイエンティストや商業ストラテジストを配した価格設定の専門部署を設置するケースが増えている。このチームは、取引データを継続的に分析し、価格漏れ(獲得に見合わない数量割引や過剰なカスタムエンジニアリングコストなど)を特定し、ポートフォリオ全体にわたって価格体系を最適化する責任を負う。

収益性という至上命題

わずか1%の成長であっても激しい競争が繰り広げられる市場において、価格戦略を無視することはもはや選択肢ではない。

B2Bリーダーは、価格設定が単なる数学の問題ではなく、中核的な商業ケイパビリティでもあることを認識しなければならない。コストプラスへの安住から脱却し、価値基準でデータ主導の価格設定を取り入れることで、企業は自社のイノベーションが持つ真の価値を獲得できる。数学は明快である。収益性への最短経路は、必ずしもより多く売ることではない。多くの場合、単に正しく価格を設定することなのだ。

(forbes.com 原文)

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