人は木材に触れると副交感神経が優位になり、脳の前頭前野の活動が沈静化する、つまりリラックスした状態になることが知られているが、条件を整えた実験室での実験結果だ。では、実際の会議室に置かれた木のテーブルでも同じようにリラックス効果が得られるのか、千葉大学が検証した。
千葉大学国際高等研究基幹/環境健康フィールド科学センターの池井晴美准教授らによる研究グループは、会議室に置かれたマカバ材の会議テーブルを使って実験を行った。健康な男子大学生と大学院生25人に参加してもらい、テーブルを手のひらで触ったときの脳活動の変化を測定した。
比較対照用にメラミン化粧板のテーブルも用意し、木のテーブルと両方を触った結果を突き合わせた。実験参加者には、まず目を閉じて両方のテーブルに触れてもらった。どちらが木製かは知らされていない。そして、おでこに近赤外光を照射して、脳活動に伴って変化する血中酸素と結合したヘモグロビン濃度を1秒ごとに測定し、左右の前頭前野(前頭葉の最前部)の活動の変化を評価した。

すると、木製テーブルに触れたときは、左右の前頭前野の活動が有意に鎮静化した。同時に、主観的な快適感やリラックス感が高まり、生理的、心理的なリラックス効果が示された。
前頭前野は高度な意思決定など「熟慮」に関わる脳の司令塔とも呼ばれる部分であり、ここが緊張していると、情動や習慣性に傾きやすくなり、判断を急いだり、いつものやり方に固執したりしがちになる。反対にリラックスすれば、ワーキングメモリーの柔軟性が増し、長期的な損得を考えやすくなったり、状況に応じて判断を修正したりなど、思考のパフォーマンスが上がるとされている。
今後は、木の種類や表面の仕上げを変えての検証や、女性も含めた実験などにより、オフィス環境の快適性向上やウェルビーイング創出につながる知見を提供したいと研究グループは話している。



