経営・戦略

2026.10.01 10:15

卵と混ざってこそ生きる「TKG専用醤油」で大成功、『アイスにかける醤油』も

山川醸造・山川晃生社長

山川醸造・山川晃生社長

岐阜市長良、金華山の麓にある山川醸造では、年に二度、蔵を一般に開いています。杉の木桶がずらりと並ぶ薄暗い仕込み蔵を、三代目社長の山川晃生さんと専務が交代で案内し、その日だけ火入れをしていない生のたまり醤油や、桶の真ん中からとれた希少な味噌が量り売りされます。

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予約はいりません。特別な設備を新調したわけでもありません。訪れた客はその場で生のたまりを味見し、気に入れば量り売りの列に並びます。日本酒の酒蔵が、蔵開放を行い販売を行うことで売り上げを上げていることにヒントを得て、醤油も同じ醸造業だからと、もともとある蔵ともともとある商品を、そのまま開いてみせているだけなのです。

杉の木桶が並ぶ醸造蔵
杉の木桶が並ぶ醸造蔵

業界が縮んでいく──

1943年、酒屋を営んでいた創業者が食糧不足の解消にと醸造業へ転じたのが山川醸造の始まりでした。以来、東海地方特有のたまり醤油と豆味噌を、木桶で2年かけて仕込み続けています。山川さんが家業に戻ったのは大学卒業後、東京の酒類問屋で4年間の修行を終えてからのことです。

創業80年余りと、醤油蔵としては新興のため、スーパーなどで売り場を確保することができず、当時の取引先はほぼ百パーセントが業務用でした。出汁やみりんなどと調合して卸すなど、名古屋を中心にうどん店や蕎麦店など千件近くの飲食店とつながりがありました。ただし業務用は粗利が薄く、ファミリーレストランやチェーン店の台頭で個人経営の飲食店が一軒また一軒と減っていくにつれ、売上は右肩下がりをたどっていました。1999年、39歳で社長を継いだとき、山川さんの前に広がっていたのは、業界そのものが縮んでいく現実でした。

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山川さんの転機になったのは当時、友人の経営者から勧められるままに始めたブログでした。毎日のように見ようみまねで、仕事について更新していました。ブログを三か月ほど毎日更新するなか、ある日新商品アイディアを書き込みました。それが「卵かけご飯専用の醤油」でした。すでに西日本で先行していた類似商品を取り寄せて片っ端から食べたところ、多くが「醤油の味がそのまま強い」ことに気づきます。自社のたまり醤油をそのまま瓶に詰めても、卵かけご飯として食べたときに美味しいとは限りません。甘みを足し、出汁を効かせ、卵と混ざったときの味を基準に配合をつくり直しました。

卵かけご飯専用の醤油
卵かけご飯専用の醤油
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