サイエンス

2026.09.27 13:00

量子コンピューター実現へ一歩前進 極限状態での量子もつれ観測に成功

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「量子もつれ」は、有名な物理学者アルベルト・アインシュタインが「不気味な遠隔作用」と呼んだことでも知られる物理現象だ。その量子もつれが今回、「Zボソン」のペアという、極限の環境で新たに発見された。

Zボソンとは、原子より小さな素粒子だが、質量が非常に大きいため、発生から極めてわずかな時間しか存在できない性質を持つ。

量子もつれが起きるのは、同じ起源を持つ2個以上の粒子が、緊密に結びついた量子状態を共有した時だ。これは、たとえ粒子が離れ離れになってしまっても、片方の粒子を測定するだけで、もう片方の粒子の情報(「スピン」と呼ばれる固有の角運動量など)がわかる状態だ。

量子もつれはこれまでも、光子やイオン(原子)のほか、中性子や陽子などの複合粒子を構成するクォークなどの量子系で確認されていた。

しかし今回、スイスのジュネーヴ近郊、欧州原子核研究機構(CERN)の地下にある大型ハドロン衝突型加速器(LHC)で、世界各国の研究者からなるチームが、CERNでも最大の粒子検出器であるATLAS検出器を用いて、Zボソンのペアに量子もつれが発生していることを確認した。

この研究に関わった一人であるオックスフォード大学のアラン・バー教授(物理学)は、声明でこう述べた。「量子もつれは、ラボのコントロールされた実験環境のもと、単一の光子のあいだで確認される繊細な現象だという考えが、われわれのあいだでは当たり前になっていた」「Zボソンのように、質量が大きく短命で、なおかつ地球上で作成可能ななかでも最も激しい衝突によって生まれる粒子のあいだで、この現象が確かに存在することがわかった。これは、この量子効果が、実際には基礎的で強固なものであることを示している」

バー教授も著者として名を連ねる、この発見に関する研究論文は、学術誌『Physical Review Letters』に、2026年9月11日付で掲載された。

量子力学が重要な意味を持つ理由

量子もつれが持つ意味は、理論物理学の珍奇な現象(そして、人間同士のつながりを表現する詩的な比喩)であることにとどまらない。

ある実在する物質が、明示的に情報を交換することなく、別の実在物の状態を「知る」ことができるという量子もつれの理論は、ミクロの世界における物質とエネルギーの機能を研究する量子力学を支える大きな柱となっている。

量子もつれを起こした粒子の挙動を科学者が研究するのは、量子力学が、宇宙の成り立ちに関する理解を深める情報を提供してくれるからだ。さらに、より日常的なレベルでの意義としては、非常に小さな粒子の同調関係が、量子コンピューターや量子暗号、さらには今後の宇宙ミッションで採用される可能性がある次世代センサーなどのテクノロジーのカギを握っている点が挙げられる。

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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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