半導体製造用の高純度化学薬品を手がけるトリケミカル研究所(4369 東証プライム、本社:山梨県上野原市)が、8月31日に2027年1月期の通期業績予想を上方修正した。売上高は前期比23.5%増の295億円、営業利益は同26.2%増の74億5000万円を見込む。生成AI向け投資を背景に半導体の増産が続き、材料の消費量が想定を上回った。前期も売上高238億円、営業利益59億円と2年連続で過去最高を更新し、営業利益率は24.7%。連結従業員313人の材料メーカーは、大手化学が居並ぶ業界でなぜ高収益を保てるのか。外部委託から内製化への転換、主力製品の特許切れを見越した製品の入れ替え、そして特許をほとんど出さない理由を、代表取締役社長執行役員の太附聖に聞いた。
──8月31日に通期業績予想を上方修正しました。手応えはあったのでしょうか。
太附聖(以下、太附):通期の計画を作り始めたのは昨年の10月、11月ごろです。ところが年が明けて1月に入った途端、雰囲気が変わりました。AI投資がすごい、もっと増産しなければ駄目だと。今は半導体が本当に足りない状態で、お客様である半導体メーカーも工夫して増産されています。それに伴って材料の消費量が上がり、上方修正に至りました。中国だけでなく、韓国も日本も台湾も全部伸びています。
ただ、半導体は波のあるマーケットです。上方修正もかなりしましたが、下方修正も過去に何度か経験しています。地道に業績を上げていくしかないと思っています。
──これまでに開発した高純度化学薬品は2000種以上。ただ、一つひとつの量は多くないそうですね。
太附:一つの荷姿に十数キロしか入っていない、牛乳缶のような容器のレベルです。開発は25グラム、50グラムという、ペットボトル1本分にも満たない小スケールから始めます。お客様も最初から大量には使いません。テストしてみて、良ければ増やそうとなる。その小さいところからノウハウを積み重ねて、大きくしていく。石油コンビナートのような化学プラントとはまったく違う世界です。
──それでも営業利益率は25%に迫る。なぜ利益が出るのですか。
太附:少量なので、大手企業が手を出せないエリアを狙ってやっているからです。競合が10社、20社あって、それぞれの売り上げが1000万円ずつとなったら、うちはもうやりません。小さくて、競合他社が1社いるかな、いないかな、というくらいのマーケットが一番心地いい。そこが一番利益を取れるんです。



