米国内の半導体工場に補助金を出す一方で、その工場に原材料を供給する鉱山や製錬所を、米政府が支配できない政府の手に委ねるような政策では、問題の半分しか解決できない。完成品を確保できたとしても、その原材料の供給を滞らせかねないチョークポイント(急所)は他国に握られたままになるからだ。
より良いアプローチは、関税のような政策で湾岸諸国を中国側へ追いやるのではなく、湾岸諸国と協力することだ。米国は湾岸諸国の政府系ファンドと共同で特定の鉱山や製錬所に投資することや、その生産物の一定量の優先購入を事前に取り決めること、さらにパートナー国の製錬プロジェクトに対して米国内の半導体工場向けと同様の融資保証や税制優遇を適用することができるだろう。冒頭で触れたDFCとADQ、オリオンによる新ファンドは、こうしたパートナーシップがうまくいくかどうかを占う最初の小規模なテストケースになる。
DFCのベン・ブラックCEOは「重要鉱物の確保は、米国の戦略的利益と経済的繁栄にとって最重要の課題です」と述べている。
今世紀の経済的な影響力を決定づけるのは、AIソフトウェアを開発する企業や完成品を組み立てる国だけではない。それらすべてを支える原材料を保有したり、その開発に資金を供給したり、あるいはそれらを精錬したりする者も影響力を持つことになる。実際、湾岸諸国はそのことを理解し、オイルマネーの一部を振り向けている。米国にとって最も賢明な行動は、湾岸諸国がパートナーを求めているいまのうちに、そのマネーを取り込んでいくことだろう。


