景気循環、設備投資、競争、地政学の4つのリスク
マイクロン株を巡る主なリスクは、メモリー市況の循環、巨額の設備投資、競争激化、中国市場と台湾を巡る地政学だ。
(1)過去の市況悪化では株価が大幅下落
最大のリスクは景気循環だ。2018年5月にはマイクロン株が約64ドルでピークを付け、年末までに約28ドルへ下落した。2022~2023年には株価が半減し、同社は四半期ベースで23億1000万ドル(約3673億円)のGAAP損失を計上した。
主要な市場混乱時におけるMU株の高値から安値までの平均下落率は、S&P500の2倍に当たる約34%だった。最も大きかった2008~2009年の下落率は77%に達した。
(2)約4.29兆円の設備投資が市況悪化時の負担に
巨額の設備投資も、メモリー価格が下落した場合には収益を圧迫する。マイクロンは2026年度の設備投資額を約270億ドル(約4兆2930億円)へ引き上げた。2027年度は四半期ごとの設備投資をさらに増やし、前年からの増加分の半分超を半導体工場などの建設に振り向ける方針だ。
投資先にはアイダホ、ニューヨーク、日本、シンガポール、台湾、インドなどが含まれる。市況のピーク付近で建設を始めた工場が完成すると、巨額の建設費や設備費を一定期間に分けて費用計上する減価償却費が発生する。その時点でメモリー価格が下落していれば、利益率を大きく圧迫する可能性がある。
(3)サムスン電子、SKハイニックス、中国CXMTとの競争
競争も激化している。2026年4~6月期のDRAM市場では、サムスン電子が売上高ベース38%のシェアを占めた。SKハイニックスはHBM市場で最大のシェアを持つ。
中国の長鑫存儲技術(CXMT)は同じDRAM市場で売上高ベース10%までシェアを伸ばし、半導体の基板となるウエハーの生産能力でもマイクロンに近づいている。2028年までに世界のDRAM供給量の17%を占めることを目標としているが、HBMの技術と生産規模では主要3社に遅れている。
(4)中国市場の制約と台湾への生産集中
地政学もリスクとなる。中国国家インターネット情報弁公室は2023年、中国の重要情報インフラ運営者にマイクロン製品を調達しないよう求めた。同社はその後、中国のサーバー向け半導体事業から撤退すると報じられている。
マイクロンは台湾にも大規模な半導体生産拠点を持つ。台湾と中国本土の対立が深まれば、生産や供給網に影響が及ぶ可能性がある。
9月30日の決算で問われる高成長の持続力
マイクロンは米国時間9月30日(日本時間10月1日午前5時30分)に2026年度第4四半期決算を発表する予定だ。今後の四半期で現在の高い成長ペースを維持できるかが、株価の重要な焦点となる。
MU株への注目が高まっており、空売り投資家はAIデータセンター向け設備投資の伸びとDRAM価格の上昇率が鈍化するとみている。これと異なる見方を示したのが、インテルのリップブー・タンCEOだ。タンは2026年9月15日、メモリー不足が2027年にさらに深刻になる可能性があるとの予測を示した。


