ヘルスケア

2026.10.01 07:00

脳信号で発話・パソコンやスマホ操作、パラドロミクスの埋め込み型BCIが商用化へ前進

最初の治験参加者は、コネクサスBCIを通じて意思を伝え、担当医マシュー・ウィルシーに感謝を述べた。今後治験に参加する人たちには、「怖がらないでください。他の人を助けられるのは、すばらしい経験です」と伝えた。(C)Paradromics、University of Michigan

中国と欧州で承認が進み、競争は市場投入の速さを問う

サイエンスの規制承認は、中国国家薬品監督管理局によるニューラクルの承認に続き、2026年に市場へ出た2つ目の商用BCIとなった。ニューラクルのNEO(ネオ)は「脳を覆う膜の表面に置く硬貨ほどの大きさの無線インプラントで、ロボット手袋を操作する。脊髄損傷者向けに設計されているが、承認対象は上腕の機能がある程度残る人に限られる」という。

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この仕組みは、米エピア・ニューロが開発する装置とよく似ている。エピア・ニューロは2026年春、それまで非公開だった事業内容を公表し、2026年秋には脳卒中リハビリ向けの埋め込み装置とウェアラブル機器を組み合わせたシステムを初めて人に使うことを目指している。

世界市場への参入を狙う埋め込み型BCIの新興企業はさらに増えている。世界的な論点は「市場が何社を支えられるか」ではなく、「各社がどれほど速く進めるか」になっている。

米委員会はBCIを国家安全保障の課題として扱う

米国の新興バイオテクノロジーに関する国家安全保障委員会(NSCEB)は2026年9月2日、BCIの技術革新で米国が主導権を握るよう求める報告書を公表した。報告書はニューラクルの承認を、中国が米国より速く規制当局の承認から実際の利用へ進めることを示す事例とし、BCI分野で中国の存在感が高まることを米国の国家安全保障上の戦略的リスクと位置づけた。

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米政府が示した4つの政策改革

報告書は、米国内で製品化を進めるため4つの政策改革を提言した。連邦政府内の障害を減らすため国レベルの調整組織を設け、国家規模の研究課題を設けて技術が実用段階へ達するまでのリスクを下げ、予測モデルや神経信号の解読モデルを訓練するためのデータ共有を促す。

さらに、市場投入までの規制経路を簡素化し、「すでに仕組みがよく知られている製品を不必要な規制から外す」ことで、研究成果を市場へつなぐ「死の谷」を越えることを求めた。

パラドロミクスは規制をめぐる米政府との対話にも関わってきた

パラドロミクスの創業者兼最高経営責任者(CEO)、マット・アングルにとって、NSCEB報告書の公表は、4年前に始まった規制をめぐる議論が一巡して戻ってきた出来事でもある。しかも、パラドロミクス初の埋め込み型BCI利用者が自分の言葉を発した時期と重なった。2022年のホワイトハウス・バイオテクノロジー・サミットでアングルと米商務省産業安全保障局(BIS)の関係者が接点を持ったことが、2023年2月16~17日のBCI輸出管理会議へつながった。

2023年2月の会議では、アングルとパラドロミクスが新興企業、研究者、支援者、倫理学者を集め、BCIに新たな規制を加えるべきではないと訴えた。追加規制によって、重要な臨床開発や技術開発を前へ進める力が損なわれるという主張だった。

急速に変化する世界情勢の下で連邦政府のBCIに対する見方が変わるのと並行し、業界は研究段階から製品開発と商用化準備へ急速に移ってきた。2025年、マウントサイナイで開かれたNYBCIシンポジウムで、アングルはBCIについて2つの展望を示した。BCIは「厳密に定義された医療機器」であると同時に、資本集約的な研究開発を「より広い未来を切り開く応用」へ変えるプラットフォーム技術でもあるという展望だ。

ワシントンは耳を傾けている。そして、パラドロミクス初の利用者と同じように、BCI業界にも話したいことがたくさんある。

(forbes.com 原文)

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