過去6年間で、企業がダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)施策について語り、実行する方法は大きく、実質的に変化した。2020年の時点では、多くの企業が制度的な人種差別を終わらせる取り組みへのコミットメントを表明し、長年続く人種間格差の是正に多額の資金を投じると約束していた。だが、DEI施策やプログラムへの反発に企業が対応するなかで、潮目はかなり早く変わり始めた。2025年には連邦政府が正式にこの問題に介入し、大統領令でダイバーシティとインクルージョンに関するプログラムを「違法かつ不道徳」と位置づけ、連邦政府機関における廃止を義務付けた。この大統領令は、民間企業がこれに従わなければならないとは明記していなかったものの、変化は明らかであり、多くの企業が自主的にDEI部門を閉鎖し、プログラムを縮小した。
DEI放棄への圧力
職場における過小代表グループの経験を研究する社会学者として、筆者はダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンをめぐる現在の文化的・政治的変化に特に関心を持ってきた。企業がその選択を望む場合に、合法的にダイバーシティに関する取り組みを継続する方法についてはこちらで、DEIへの広範な支持がないなかで組織が人種間・ジェンダー間の格差を縮小するために取れるいくつかの手段についてはこちらで書いている。しかし、連邦政府がこのアプローチを明確に支持していないにもかかわらず、DEI活動を維持した企業に何が起きたのかについては、まだ十分に検討できていなかった。
逸話的には、DEI活動を後退させた企業もあれば、従来の方針を貫くことを選んだ企業もある。小売業では、ターゲットとコストコが異なる道を選んだ企業の代表例として、おそらく最もよく知られている。ターゲットはDEIへのコミットメントから後退し、その結果、評判に大きな打撃を与えるボイコットを招いた。一方、コストコはDEIの取り組みを維持することを選び、それらは同社の事業成長と運営戦略に不可欠な要素だと主張した。これらの事例だけを切り離して見ても、企業によってアプローチが異なるという以上のことはあまりわからない。だが、新たな論文は、この問題についてより体系的で詳細な情報を示している。
企業はDEI維持の代償を払うのか
最近の研究で、政治学者のハンナ・フォルスとジェイク・グランバックは、DEI禁止に従わなかった企業が、従った企業よりも悪い財務実績を示したのかを検証した。両氏はS&P 500企業の株価パフォーマンスと売上高を調べ、DEIへのコミットメントを維持した企業と維持しなかった企業について、類似企業同士を比較し、財務上の結果を観察できるようにした。注目すべきことに、フォルスとグランバックは、DEIプログラムを維持した企業が収益低下を報告したという証拠を見いださなかった。これらの企業は、株価下落でも収益低下でもペナルティーを受けていなかった。両氏の結果は、消費者がDEI活動を維持する企業を罰しているわけではなく、このコミットメントを維持しても企業の最終利益を損なわないことを示唆している。
多くの組織がDEIにどう向き合うかを検討している時代にあって、フォルスとグランバックの結果は重要な示唆を持つ。これまでのところ、DEIの取り組みを継続したい企業は、他社がそれによって不利な財務コストを負うことなく継続できているという事実に留意できることを示している。さらに、大学、法律事務所、報道機関など、DEIへのコミットメントから後退するよう圧力を受けてきた組織も、これらの知見を踏まえ、DEIを堅持することに伴うコストが、想定されていたほど深刻ではない可能性を検討する価値があるだろう。



