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2026.09.29 11:45

創業150年の老舗企業「開化堂」はなぜ、「心地よいN1」を大事にするのか(後編)

中央が開化堂代表取締役社長の八木隆裕、カルチャーイン・カルチャーアウトを提唱する大森充(右)、花井優太(左)

中央が開化堂代表取締役社長の八木隆裕、カルチャーイン・カルチャーアウトを提唱する大森充(右)、花井優太(左)

これからのヒットするモノ、コト、サービス、さらには企業経営には、企業のカルチャーを起点とした「カルチャーイン・カルチャーアウト」のプロセスが必要である。日本総合研究所で経営コンサルタントの大森充、クリエイティブディレクター兼編集者の花井優太のふたりが提唱する仮説だ。市場との固定密着が必要ななか、市場や消費者の声を起点とするマーケットイン、つくり手目線のプロダクトアウトとも異なる、新たなアプローチが重要になるという。彼らの仮説について、その象徴的な企業へ取材を行う企画の第二弾は、手作り茶筒の老舗、京都「開化堂」代表取締役社長の八木隆裕へのインタビューだ。前編では、開化堂のこれまでの歴史を振り返りながら、開化堂のカルチャーとは何かについて聞いた。後半では、茶筒の海外展開やコラボレーションなど、新たな市場へのアプローチを始める時の根底にある文化・価値感について聞いた。


大森充(以下、大森):僕らの仮説である「カルチャーイン・カルチャーアウト」の構造の4分類のうちの(3)モノ/コト+カルチャーでプロダクト/サービスアウトする「カルチャーリリース」の部分についてお伺いしたいです。通常、茶筒を市場に出すのであればプロダクトアウトだと思うのですが、開化堂の茶筒は「カルチャー」が乗っかっている。6代目の八木さんは今、海外展開も積極的にしていますが、どのように海外にこのカルチャーや感覚値を共有し、広めて行っているのでしょうか。

大事にする「お互いさま」「We」感覚

八木隆裕(以下、八木):僕の代で始めた海外展開ですが、最初に海外に開化堂を引き出してくれたのが、ロンドンの有名なお茶専門店「Postcard Teas」さんでした。海外展開を始めた当初は売り上げの数字に向き合わないといけないと必死になり、パリの世界最高峰の見本市メゾン・エ・オブジェにも出て、数多く商談をしました。5年近く進めていく過程で、数多くの企業と話をしていきながら、数が売れるか売れないかだけを考えるところとお付き合いしていても「長い先」が見えないと感じました。一方、Postcard Teasさんとの関係はずっと続いていた。

その違いは何かと考えた時に、「この人たちは数字ではなく、僕を引き受けてくれて、開化堂そのものが好きで引き受けてくれた人たちなんだ」と気がつきました。親戚付き合いというか、家族ぐるみのお付き合いができる、そしてお互い向き合うことができるようなところでないと、長いことお付き合いできないと理解できました。その後はPostcard Teasと同じような感覚になれるところと一緒にやろうと、話がきても90%以上は断っていました。

花井優太(以下、花井):「お互いさま」が機能する関係だけで仕事をする、と。お互いさまでちゃんとやっていこうよと。

八木:合弁会社を作るぐらいのイメージです。「お互いさまがお互いさまのリターンをもらえる上でやっていかないと、長く続かないのではないか」と。20年、30年、もしかしたら息子の代までと考えた場合、それが一番「手っ取り早い」方法なのかもしれません。

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フォーブスジャパン編集部=文 井上陽子=写真

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