Forbes JAPAN編集長編著『Forbes JAPANが選ぶ 未来をひらく言葉』から、Forbesが過去取材したビジネスリーダーたちの名言を紹介する。
正解のない時代に「未来をひらく」仕事をなし得た彼ら・彼女たちは、自らの行動からどんな言葉を紡ぎ、何を導き出したのか。「名言こを未来に伝えるべき共有物だ」をコンセプトに、リーダーたちの言葉をひもとき、われわれの「今日の行動」に転換すべく読み解くコラム。第11回の今回は、京セラ創業者 稲盛和夫の言葉を紹介する。
葛藤こそが自分を高めていく

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「利他の精神」で知られる「経営の神様」こと稲盛さんだが、「烈火の如く怒る」という話を幾度となく聞いてきた。冒頭のセリフはブックオフの創業者である坂本孝さんが「騙された」とぼやいた時に落ちた雷である。また、坂本さんは不正会計問題で辞任した時も京セラの会長室に呼び出されて「反省がない!」と、テーブルを挙でコンコンと叩きながら45分間もまくしたてられたという。恐ろしさのあまり、彼は顔をあげることすらできず、震えたそうだ。しかし、エレベーターホールで別れ際、稲盛さんが両手で彼の手を力強く握った時、その気持ちは吹き飛んだ。こう言われたのだ。
「どんなことがあっても全面的に協力する。何でも俺に相談に来い」
稲盛さんは自著『京セラフィロソフィ』でこんなことを述べている。
<私自身、偉そうなことを言っていますけれども、(中略)必ず「そういうお前はどうなのか」と私自身を責める自分というものが出てきます。その葛藤の中で私自身を高めていく、この繰り返しこそが人生なのだと思うのです>
私が稲盛さんを取材した脂質問が失礼だったのか、「もうやめや」と立ち上がった。思わず身構えると、こう言うのだ。「あんた、麺、好きか」。そして、一緒にラーメンを食べに行くことになった。偉大な経営者の人間くさい顔に触れながら、共にラーメンをすすった。お亡くなりになる前の、忘れられない思い出である。
稲盛和夫(いなもり・かずお)◎京セラ創業者。1932年、鹿児島県生まれ。鹿児島大学工学部卒業。59年、京都セラミック(現・京セラ)を設立。社長、会長を経て、97年より名誉会長。84年に第二電電(現・KDDI)を設立し、会長に就任。2001年より最高願間。10年には経営が破綻した日本航空会長に就任。15年より名誉顧問。1984年、稲盛財団を設立し、「京都賞」を創設。2022年、死去。



