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2026.10.06 15:15

「僕にはタイヤ騒音が音階にきこえる」。ブリヂストン研究職から『音楽』で目指す3兆円市場

現役ヴァイオリニスト起業家、Vireson(ヴィレゾン)土屋弘貴氏

現役ヴァイオリニスト起業家、Vireson(ヴィレゾン)土屋弘貴氏

現役のヴァイオリニストであり、研究者・技術者としてのバックグラウンドを持つ起業家。Vireson(ヴィレゾン)の土屋弘貴氏は、ブリヂストンでの研究開発キャリアを捨て、起業の道を選んだ。

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生成AIが進化し「正解」と思われるものが、すぐに手に入る時代。土屋氏が提唱するのは「絵×音楽×物語」の創作体験を通じて、自分軸と人間性を引き出す仕組みであった。

起業の原体験とViresonをはじめた理由

インタビュアー曽根康司(以下、 ──):Viresonを創業するまでの原体験について教えてください。

Vireson土屋弘貴(以下、土屋):私の原体験を振り返ると、大きく2つ、幼少期からはじめたヴァイオリンと、その後のブリヂストンでの研究活動があると思っています。

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私は東京都中野区で生まれ、3歳から父の影響でヴァイオリンを始めました。父は演奏家ではなく、一般企業に勤めていましたが、父の母(私の祖母)の影響でヴァイオリンを弾いていました。ヴァイオリンでの転機は中学への入学でした。慶應義塾普通部(中学校)に進学し、オーケストラ部に入ると仲間と音楽を演奏する楽しさに目覚め、高校でも顧問の先生などの熱い指導を受け、音楽の世界にさらに引き込まれていきました。

大学は音楽大学への進学も考えたのですが、慶應義塾大学の理工学部に進み、大学院の修士課程では材料化学を専攻しました。学部のときには、量子力学や半導体の勉強でUC Berkeleyに留学したのですが、ヴァイオリンも持参しました。寮で人が集まるとヴァイオリンを弾いて、場を盛り上げ、他の留学生との親交を深めました。まさに「音楽は国境を超えて人をつなぐ」ことを体感した瞬間でした。ちなみに留学先に持参したヴァイオリンは祖母がかつて使っていたものを譲り受けたものです。

留学を終え、2017年に新卒でブリヂストンに入社しました。製品のシミュレーションやタイヤを補強する材料の研究開発、大学との共同研究などに携わりました。

タイヤの性能テストの騒音試験もあるのですが、そこで発生する音が単なる「騒音」ではなく、「音階」として聴こえていたのは、ヴァイオリンをやっている自分ならではの感覚だったのではないかと思います。

──順風満帆のキャリアだったように見えますが、なぜ起業に至ったのでしょうか?

土屋:長年抱いていた「日本の芸術領域における教育や社会への違和感」が根底にあります。明治維新以降、西洋音楽が日本に入った際、「型通りに正確に演奏すること」が重視されてきたように思います。

小学校のときに人気だった「図工」が、中学以降の「美術」になると急に人気が無くなる。本来は好きなはずの創作が、学校教育での評価や「正解」の押し付けによって、大人になるにつれ嫌いになったり、遠ざかったりしてしまう人が非常に多いのが現状です。

「正解がない世界で、もっと誰もが気軽に創作を始め、自分を表現していいはずだ。」そうした思いが強まり、アドラー心理学で言われる「共同体感覚」を軸とした事業構想の種が出来ました。

もう一つの大きな転機は、2020年にコロンビアビジネススクールが提供しているVFAプログラム(Venture for All)を受講したことです。ここで学んだ起業や経営の体系的なプログラムは、言うまでもなく起業の大きな後押しになりました。
そして、2020年ごろから構想を温め、2025年の8月からプロトタイプの開発をはじめて、今に至ります。

サービス開発を進めるにあたっては、親しい友人からのフィードバックももらいました。

フィードバックを依頼した際にサービスに大きな興味を持ってくれたのが、中学時代からの友人である外山雄大氏でした。彼は今、Viresonのメンバーとして事業推進に協力してくれています。

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文=曽根康司

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