あなたは、自分にこう約束する──今月こそは早起きして、余裕のある1日をスタートしよう。あるいは、こういう約束かもしれない。やろうと思っていた職務経歴書の更新を済ませよう。新しいAIプラットフォームの使い方を学ぼう。物事を先延ばしするのをやめよう。あるいは深く集中するための時間を確保しよう。
強い決意で始めたものの、締め切りは次々に押し寄せ、カレンダーは会議の予定で埋め尽くされ、急ぎの仕事で1日が終わってしまう。やがて、絶対に守ろうと思っていた「自分との約束」は、いつのまにか目の前から消え、遠い記憶と化す。そうして、結局は寝坊している自分に気がつく。
決意と行動の隔たり
決意が行動につながらないからといって、必ずしも性格に欠陥があるわけではない。問題は得てして、自分の望みを表明する目標が、「行動すべきタイミングが来たときに何をすべきか」を、脳に指示する内容にはなっていないことだ。「人脈(ネットワーキング)を広げる」や「先延ばし癖を克服する」といった目標は、心からの決意を表明したものだろう。しかしどちらも、具体的な行動を起こすきっかけが何なのかは示されていない。
そうした隔たりを埋められる、一見するとシンプルな戦略が一つある。心理学の分野では「実行意図(implementation intention)」と呼ばれる戦略だが、「if-then」計画の方が耳なじみがあるかもしれない。つまり、「もし(if)Xが起きたら(then)、私はYを実行する」という戦略だ。
「if」では、具体的な時間、場所、出来事、障害などの条件を提示し、「then」では、自分が取る行動を表明する。Ifとthenを事前に決めておくと、漠然とした願望は、具体的な行動指示へと変わるのだ。
決意が行動につながらない理由
キャリアの目標はたいてい、「〜したい」という願望から始まる。昇進したい、人脈を強化したい、より良いリーダーになりたい、新しいスキルを身につけたい、といった望みのことだ。しかし、目標を立てただけで、それに伴う様々な小さな決断は下されていない。いつ始め、具体的に何をし、疲れた時や気が散ったとき、怖気づいたときにどう対応するのか、といった問いへの答えは放置されている。
それらの問いへの答えを、いざという局面が訪れるまで出さずにいると、どうしてもその時々に押し寄せてくる別の必要性に負けてしまいがちだ。しかし、「if-then」形式で計画を立てておけば、気が散ったり、ストレスを感じたり、抵抗感が生まれたりする前に、決断を下しておける。



