グーグルで産業用ロボット向けのソフトウェアを手がけるIntrinsic(イントリンシック)は米国時間9月22日、自社の産業用ロボットプラットフォームの土台となる部分をオープンソース化した。対象は、ロボットの制御、動作計画(motion planning)、把持計画(grasp planning)、シミュレーション、姿勢推定(pose estimation)、カメラキャリブレーションのソフトウェアである。
動作計画は障害物を避けて動く経路を割り出す処理、把持計画は部品のつかみ方を決める処理、姿勢推定はカメラ画像から物体の位置と向きを割り出す処理、カメラキャリブレーションはカメラの位置やレンズのゆがみを補正する作業を指す。これまで同社の独自製品のなかに閉じ込められていたこれらのソフトウェアが、利用条件の緩いApache 2.0ライセンス(改変や商用利用を広く認めるオープンソースのライセンス)のもとで公開された。
その名はIntrinsic Coreである。最初からROS(Robot Operating System)との互換性を前提に設計されている。ROSは、ロボット業界の大半が土台にしているオープンソースのミドルウェア(OSとアプリケーションの間で共通の機能を担うソフトウェア)で、Intrinsic Coreはこれと組み合わせてそのまま使える。Intrinsicによれば、公開したのは、同社が実際の製造現場への導入で日々使っているのと同じ機能だという。つまり、機能を削ったデモ版の類いではない。
Intrinsicはあわせて、「Open Machine Tending Solution」と名づけたものも公開した。これは、AIを使ってCNC工作機械(コンピューターで数値制御する工作機械)のマシンテンディングを実現するためのリファレンスデザイン(手本となる設計一式)である。
マシンテンディング(machine tending)とは、工作機械への材料の投入や、加工を終えた部品の取り出しをロボットに任せることを指す。Open Machine Tending SolutionはIntrinsic Core上で動作し、ファナックやユニバーサルロボットといったロボットメーカーの機種に、最初から対応している。
Intrinsicの主張は単純だ。ロボットの開発者は、同じ下回りの仕組みを何度も作り直している。機器を動かすためのドライバー、関節の角度とロボットの手先の位置の関係を計算する運動学(kinematics)、衝突を避ける経路の生成、キャリブレーションの手順などである。そのため開発チームは、独自のものを作って実際に価値を生み出し始める前に、数週間、場合によっては数カ月もの開発期間を基盤づくりに費やしている。
Intrinsicは、この基盤の層を無償で開発者に手渡そうとしている。もちろん、より興味深いのは、その見返りにグーグルが何を得るのかである。



