人生で唯一確実なのは、不確実性そのものだ。私たちにできる最善は、その不確実性に知性、経験、そして開かれた心をもって向き合うことである。
PQE Groupを長年率いるなかで、私は何十年にもわたり決断を下してきたが、その多くは結果がどうなるか正確に見通せないなかで行われた。私のキャリアは、周囲が「ひるむのではないか」と固唾をのんで見守るなかで、リアルタイムで軌道修正を繰り返す、長くて静かなプロセスの連続だった。
私はひるまなかった。そしていつの間にか、自分がその状況を楽しんでいることにふと気がついた。パズルのような面白さ。新しい情報が入るたびに、可能性が再構築されていく感覚。ライフサイエンスは絶え間ない変化とイノベーションの分野であり、私はそこで不確実性を、行く手を阻む障害物ではなく、共に歩む伴侶として捉えることを学んだ。
祖母になったことで、この考え方はさらに強固なものとなった。四半期単位ではなく、何十年という単位で、孫たちが実際に受け継ぐ世界について考えるようになる。これほど先の未来を見据えて物事を構築していると、次の四半期がどうなるか分からないという不安は、ちっぽけで、ほとんど的外れなものに思えてくる。
なぜ「耐えること」は戦略にならないのか
現代のリーダーを分ける真の境界線は、知性や経験ではないと私は考えている。それは、不確実性にどう向き合うかだ。ほぼすべてのリーダーが、最終的には不確実性に耐えることを学ぶ。しかし、単に耐えるだけでは、もはや十分な戦略とは言えない。
私のキャリアの大半において、不確実性に対処するとは、状況が落ち着くまで耐え忍ぶことを意味していた。混乱が時折発生し、その合間に回復するための穏やかな期間があるような時代には、それでうまくいっていた。だが、そのような贅沢な時代はもう終わった。製薬、バイオテクノロジー、医療機器の分野における規制対応、品質、コンプライアンスにおいては、ルールの書き換えが同時進行で行われている。各地域で規制枠組みが絶えず変化し、かつては完全に人間が担っていた業務をAIが再構築し、クライアントの優先事項はプロジェクト計画の想定を上回るスピードで変化している。物事が落ち着くまで耐えることだけを戦略とするリーダーは、二度と戻ってこないかもしれない瞬間を待ち続けることになるだろう。
デロイトの「2026年グローバル・ヒューマン・キャピタル・トレンド」レポートはこの変化をよく捉えている。世界中の9000人以上のビジネスおよび人事リーダーからの回答に基づくと、10人中7人が、今後3年間の主要な競争戦略は単に「迅速かつ俊敏であること」だと答えている。奇妙なことに、リーダーの85%が「今日のスピードに適応できる組織と従業員の能力を構築することが不可欠である」と述べる一方で、「従業員の継続的な成長と適応を支援する取り組みを主導している」と答えたリーダーはわずか7%にとどまっている。
真実を語ることの重要性
かつて私は、不確実な状況において、本当にわからないことを過小評価することで冷静さを装うのが自分の仕事だと信じていた。しかしその後、その本能は逆効果であると気づくようになった。不確実性を過小評価しても、人々を守ることはできない。それどころか、準備不足に陥らせ、安心させるために取り繕われた事柄に現実が追いついたときには、不信感を抱かせる結果になりかねない。
チームを真に落ち着かせるのは、何が不確実であるかを正直に伝え、同時に何が自分たちのコントロール下にあるかをしっかりと認識させることだ。それによって人々に当事者意識が芽生え、ただ身構えるのではなく、主体的に問題に取り組み続ける理由が生まれる。
セントルイス・ワシントン大学が提供するリーダー向けのリソースガイド「不確実な時代のマネジメント(Managing During Uncertain Times)」でも、状況が予測不可能になったときに効果的なリーダーシップが重要となる5つの理由として、同様の指摘がなされている。それらは、「安定をもたらす影響力」「明確なビジョンと方向性」「適応力とイノベーション」「真のエンゲージメントと士気」、そして「信頼と信用」である。
『ハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)』が指摘しているように、経営陣が不確実性について語る際、その多くはリスクの観点に偏りがちだ。彼らは「リスクへの露出を軽減する」や「下振れリスクを防ぐ」といった言葉を使う。それも重要ではあるが、リーダーがそのような言葉しか使わなければ、従業員は危険ばかりを感じ取り、可能性に目を向けられなくなる。私はリスクを語るのと同時に、機会についても言及するようにしている。なぜなら、不確実性は文字通り諸刃の剣であり、何かを回避するためではなく、何かに向かって進んでいると信じるとき、人々は異なるパフォーマンスを発揮するからだ。
多様な可能性に備える計画
優れたリーダーシップとは、すでに答えを持ってすべての会議に臨むことではない。早い段階で一つの道に決めてしまうと、より良い道が開けたときにそれに気づく機会を失ってしまう。私にとっては、多様な可能性を考慮する拡散的思考のほうが、はるかに役に立ってきた。予測される一つの結果にすべてを賭けるよりも、複数の起こり得るシナリオを同時に想定する方が、はるかに有益である。
私たちは不確実性を嫌うあまり、起こり得る結果を過小評価しがちであり、その結果、組織は本当のチャンスを逃してしまうことが多い。直感と分析を連動させ、情報を手がかりに進むべき方向を見定めつつ、変化を失敗と見なさない姿勢が必要である。
不確実性を受け入れるための3つの方法
不確実性をリーダーシップスタイルに取り入れる上で、私にとって特に効果のあった3つの習慣を紹介する。
1. わからないことを明確にし、コントロールできることと組み合わせる。偽りの確実性を装うのではなく、何が未確定で、その間に自分たちが影響を与えられるものは何かをチームに率直に伝える。これは、単に安心させるよりも早く信頼関係を築くことができる。
2. 複数の可能性を同時に視野に入れる。一つの道に完全にコミットする前に、他にどのような可能性が考えられるかを問いかける。これにより、時期尚早な決断を避け、状況が明確になった際により良い決定を迅速に下せるようになる。
3. 完全にクリアになる前に、推進力を生み出す。完全に確実な状態を待っていては、競合他社や周囲の環境に置いていかれてしまう。その時点で得られる最善の情報をもとに、次にとるべき正しい一歩を踏み出し、新しい情報が入るたびに率直に軌道修正を行うことだ。
不確実性の見方を変える
リーダーがカオスを愛する必要はないが、長期的に最も成果を上げるリーダーは、道が平坦になるのを待つのをやめ、次にどこへ曲がるかに純粋な関心を見出せる人であることが多い。
私自身、現在の四半期や自分の任期を超えて存続するものを築こうとしている。私たちが作り上げたものを引き継ぐ人々に渡せるような、強固な価値観と習慣を構築しているのだ。この視点に立てば、不確実性は計画に対する脅威ではなく、旅の日常的な一部のように感じられるようになる。



