AI開発企業アンソロピック(Anthropic)のIPO(新規株式公開)が、当初予定していた9月から後ろ倒しになり、現在は11月が目標となっている。早くても10月下旬になる見通しだ。OpenAIがAIモデルGPT-6 Astraを公開した後に、アンソロピックが第3四半期の業績を投資家へ示せるようにすることが延期の理由とされる。最大1000億ドル(約15兆8000億円)を調達する史上最大規模のIPOになる可能性があり、米国の個人投資家の関心も高い。投資判断では、上場前ファンドを利用する際の手数料や価格の上乗せと、上場後のロックアップ解除による株式供給の増加が重要な論点になる。
上場前からアンソロピック株を狙う個人投資家
カリフォルニア州在住の個人投資家ブライアン・スミスは、66歳の退職者だ。ブルームバーグの9月21日付の記事は、アンソロピックのIPOに備えるスミスを中心に取り上げた。スミスは、アンソロピックが上場した際に各社へ株式を申し込めるよう、資金を8つの証券会社へ分けて預けている。純資産の約30%に当たる数十万ドル(約3000万円~1億4000万円程度)相当を申し込む可能性があり、株式を割り当てられれば取引開始後すぐに売る計画だ。
スミスはさらに、アンソロピックとOpenAIの上場前株式への投資機会を得るため、手数料の高い2本のファンドに計7000ドル(約111万円)を投じた。上場前ファンドへの投資で何が起こり得るかは分かっている。別の未公開株ファンドで保有する持ち分は、一時30万ドル超(約4740万円)の価値があるように見えた。ところが、ロックアップによる株式の売却制限と技術的な問題で売れるまで時間がかかり、最終的な利益は約4万3000ドル(約679万円)にとどまった。過去の経験にもかかわらず、スミスは再び同じ種類の投資をしようとしている。
「リスクがあるのは分かっているし、無謀だと思う人もいるだろう。だが、めったにない機会に思える。アンソロピックのIPOで損をする可能性は非常に低いと思う」。
アンソロピック株への需要は本物だ。しかし、個人投資家が上場前に株式を手に入れようと選ぶ手段の大半は、投資家が損をするような仕組みになっている。



