ドローン(無人機)は、現在も続くロシアの侵攻に対するウクライナの防衛で要になっている。具体的に言えば、ウクライナ防衛軍(以下「ウクライナ軍」)のドローンは前線で障害帯と組み合わされ、最大で幅30kmにおよぶ「キルゾーン(撃破地帯)」を形成している。こうしたキルゾーン内では、ロシア侵略軍(以下「ロシア軍」)のまとまった部隊や装甲車両、火砲をウクライナ軍のドローンが迅速に探知し、攻撃できるようになっている。ロシア軍はウクライナ軍に対して兵力で6対1の数的優位に立ちながら、キルゾーンを突破しあぐねており、ウクライナ東部の都市ドブロピッリャに向けた前進を含め、夏季攻勢の目的の達成を阻まれている。
ウクライナ軍のドローンは有効だが、依然としていくつか重要な脆弱性もある。ウクライナ国家親衛隊第1軍団「アゾフ」のデニス・プロコペンコ司令官は最近の戦略評価で、ロシア軍はドブロピッリャ方面に重点を置くとみられる秋季攻勢で、まさにこうした制約を突いてくるとの見通しを示している。とりわけ、気象条件の悪化でウクライナ軍のドローン発射・運用能力が制約されるおそれがある。ロシア軍は、ドローンによる監視・攻撃範囲が狭まるこうした機会に乗じて大規模な機械化攻撃を仕掛け、ウクライナ側の防御を圧倒することを狙っているもようだ。
❗️According to ISW, Russia is transferring armored vehicles and about 1,200 drone crews to the Dobropillia direction in order to break through to Dobropillia in the autumn and envelop the Kramatorsk–Sloviansk fortress belt from the south; both sides are seeking a way out of the… pic.twitter.com/KTjGCuC3uU
— 🪖MilitaryNewsUA🇺🇦 (@front_ukrainian) September 18, 2026
ウクライナ軍のドローンに対する気象の影響
ウクライナ軍の防勢作戦では、監視任務や精密攻撃任務に多数のFPV(一人称視点)ドローンが活用されている。これらのFPVドローンは主に、ホビー向けを含む民生品の設計をベースにした小型のクワッドコプター(回転翼4枚のドローン)である。設計がシンプルで、部品も安価な市販品を使うため、ウクライナは大量生産でき、新たな技術が利用できるようになると迅速に改良することも可能である。また、FPVドローンは小型なため探知されにくく、地表近くや障害物の周囲を機動することもできる。
この戦争でFPVドローンは大きな注目を集めているが、実際の有効性は過大評価されがちでもある。ウクライナ軍でFPVドローンの操縦士として戦った人物は昨年、防衛分析プラットフォーム「ウォー・オン・ザ・ロックス」に寄せた論考のなかで、ウクライナでのドローンの出撃任務で、意図した目標への攻撃に成功した割合は40%あまりだったと明かしている。技術的な問題やロシア側の電子戦などのため出撃できなかったケースを考慮すると、この割合はもっと低くなるという。公開されている動画はドローン攻撃の成功例を示すものが多いため、こうした限界があることは見えにくくなっている。



