マーケティング

2026.09.23 22:03

AI時代のB2Bマーケティング、リーダーが選ぶべき道はコスト削減か成果向上か

Adobe Stock

Adobe Stock

AIはB2B企業にマーケティングの生産性向上という恩恵(生産性配当)をもたらしている。実行スピードが上がり、効率性が高まる中、企業のリーダーは重要な決断を迫られている。その恩恵を主にマーケティングコストの削減に充てるべきか、それともマーケティング成果の向上に活かすべきかという決断だ。

かつてピーター・ドラッカーはこう述べた。「成果を生むのはマーケティングとイノベーションであり、それ以外はすべてコストである」。ドラッカーが言いたかったのは、他の機能が重要ではないということではない。マーケティングとイノベーションは、事業の未来を創造するうえで独自の役割を担うということだった。今日、この考え方はかつてないほど重要になっている。AIがマーケティングの可能性を高める一方で、リーダーに対し、マーケティングを主に費用と見るのか、それとも事業価値を生み出す戦略的推進力と見るのかを問いかけているからだ。

2つの道

コスト削減の道は、マーケティングを管理すべきコストと捉える視点に基づいている。この道を選ぶ企業は、AIを主に人員削減、外部リソースの排除、マーケティング投資全体の縮小の手段として見ている。同じことをより効率的に行うこと、可能な限り既存の機能を置き換えること、そして削減分を取り込むことに焦点を当てている。

成果向上の道は、マーケティングを「事業価値の戦略的推進力」と捉える視点に基づいている。この道を選ぶリーダーは、AIを活用してマーケティングチームの能力を高め、優秀な人材が達成できる成果の幅を広げている。顧客インサイトの改善、クリエイティブによるインパクトの強化、試行の増加、より深いパーソナライゼーションの実現、さらにはこれまで手の届かなかった成長施策の追求などを行っている。日々の実行業務で削減できた時間を、戦略的思考、計画策定、実験、そして最適化へと再投資しているのだ。

マーケティング成果の高度化に投資することを選ぶなら、より深い顧客理解、より強いブランド選好、より豊かなデータ、組織知、そして高速かつ高成果のマーケティング機能を支えるために必要なシステムとプロセスといった、永続的な資産と持続可能な優位性を築く機会がある。こうした優位性は現実の事業価値をもたらし、競合他社にとって克服がきわめて難しいものになり得る。

「高成果マーケティング」とは何か

高成果マーケティングは、実行の速さで測られるものではない。より優れた事業成果によって測られる。それには、より質の高い商談機会を生み出すこと、営業チームがより効果的に成約できるよう支援すること、販売サイクルを短縮すること、価格決定力を持てる形でブランドを強化すること、そして顧客関係を拡大して継続率、クロスセル、紹介を改善することが含まれる。

これを実現するうえで、とりわけ重要になることが2つある。第1に、人間の経験、創造性、判断力がもたらす価値を支え、高めるためにAIとテクノロジーを適用することだ。フォレスター(Forrester)は、AIに起因するとされるレイオフの半数超が、企業が人材を早期に置き換える難しさに直面することで、最終的には撤回されると予測している。教訓は、AIが失敗したということではない。企業はAIを主に人材の代替と見なすよりも、優秀な人材の成果を引き上げるために使うことで、より大きな価値を生み出せるということだ。

第2に、強固なシステムの必要性である。AIがマーケティングの能力と実行速度を高めるにつれ、これまで何とか管理できていた戦略、データ、オペレーション、メッセージング、足並みの不一致といったギャップが、一気に拡大する可能性がある。構造化されたマーケティング・オペレーティングシステムの重要性が高まっている理由の1つはそこにある。速度が上がるほど、明確な優先順位、足並みのそろったチーム、測定可能な成果、予測可能なプロセスが不可欠になる。強固なマーケティング・オペレーティングシステムは、拡大した能力が単にマーケティング活動の増加に終わるのではなく、売上、収益性、長期的な企業価値の向上につながるよう支える。

最後に

マーケティング成果を引き上げ、競合を上回り、企業価値を高める力は、近年ほとんどのB2Bリーダーが経験したことのない機会である。それは、より高いレベルのマーケティング生産性が可能になるにつれ、リーダーがその成果をどのように使うかを決められるようになったことに由来する。マーケティングを主に間接費として扱う企業と、戦略的投資として扱う企業との間で、事業成果の差は大きく広がる可能性が高い。道を選ぶべき時は今である。賢明に選ぶべきだ。

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事