メンターはリーダーにとって重要な存在だ。個人の、そしてプロフェッショナルとしての成長を加速させ、直面する課題について語り合うための「安全な場所」を提供し、新たな人脈や機会への扉を開いてくれるからだ。その結果、多くのリーダーは、自身のキャリアに大きな影響を与えたメンターの名前を挙げることができるだろう。
しかし、リーダーがメンタリングのプロセスから恩恵を受けるのは、メンティ(指導を受ける側)としてだけではない。他者のメンターを務めることでもメリットを得ることができる。その具体的な方法を紹介しよう。
1. 自己発見の「黄金の瞬間」を味わう
「誰かが課題を持ちかけてきたとき、人は何らかの行動を起こす前に、心の中で何かを感じているはずだ」と、マスターエグゼクティブコーチであり、Paseda360コーチ・トレーニング・アカデミーの創設者であるアンジェラ・コックスは言う。「それは焦りかもしれないし、自分の価値を証明したいという衝動、あるいは物事を簡単に済ませたいという欲求かもしれない。この反応が引き金となり、その後に具体的な行動が続く。急いで介入しすぎたり、言うべきことを和らげたり、相手を自分の答えへと導いてしまったりするのだ」
コックスは、多くの人がこの自己発見の黄金の瞬間を逃していると考えている。会話の重点をメンティだけに置いているからだ。「しかし、そこに意識を向けることができれば、自身のリーダーシップ能力を強化する素晴らしい方法になる」と彼女は説明する。「自分の中で何が引き起こされているのかを認識できれば、同じパターンを繰り返すのではなく、どのように対応するかを選択できるようになる」
2. 自分と他者の「情熱」を解き放つ
「メンタリングの素晴らしさは、メンターが自らの教訓を共有することで回復力を養い、メンティには帰属意識と自信が育まれるという、双方向のメリットにある」と、著書『Born to Buzz』の著者であり、グローバルコミュニティPassion Collectiveの創設者であるローラ・ベストは言う。それでも彼女は、メンタリングの会話には重要な要素が組み込まれるべきだと付け加える。それは「情熱」だ。
「職場における情熱は誤解されがちな概念であり、しばしば『非科学的なもの』として片付けられてしまう」とベストは言う。「しかし、研究によれば、仕事の内外を問わず『調和的な情熱』に取り組んでいるとき、パフォーマンスが向上し、自身の習得目標を達成しやすくなることが示されている」
他者が情熱を見つけ、育むのを積極的に支援するメンターは、メンティだけでなく組織にとっても新たな可能性を生み出すことができる。「例えば、担当するメンティが音楽に熱中している財務部門の担当者だとしよう」とベストは提案する。「次のチームイベントで彼にDJを任せてみるのはどうだろう。あるいは、メンティが以前の役職での実務を懐かしんでいるなら、そのスキルを有意義な形で発揮できる委員会やプロジェクトを紹介してみてはどうだろうか」
自分自身の情熱を原動力にし、他者がそれを見つけるのを手助けするとき、メンタリングは進歩と機会をもたらすものになるとベストは信じている。「双方に少しの勇気が必要だが、それによって生み出されるパフォーマンス、充実感、そしてエネルギーは非常に価値がある」と彼女は語る。
3. 部下の声に耳を傾ける能力を養う
「アラブ世界におけるメンターシップは、西洋的な文脈では時に理解しがたいほどの重みを持っている」と、ドバイを拠点とする複合企業マジッド・アル・フタイム・グループの元CEOであり、著書Next: Leading through new realitiesの著者であるアラン・ベジャーニは語る。「それは、家族、信仰、徒弟制度、権威に対する特定の文化の考え方に組み込まれている。年長者と若者の関係は、単なる職業上の便宜ではない。知識、資本、アイデンティティを何世代にもわたって継承してきた文明的な構造なのだ」
しかし、ベジャーニは、メンターシップが一方向だけに流れるべきではないと考えている。それによって新しい挑戦が抑制されてしまう可能性があるからだ。「現代のリーダーに求められているのは、その形式を尊重しつつ、流れを反転させることだ」と彼は言う。「真剣さ、忍耐強さ、長期にわたる義務を維持しながら、自分より若く、キャリアの浅い人たちからメンタリングを受けるという規律を加えること。最もダイナミックな経済圏は、権威ある者が部下の声に耳を傾けることを学んだ場所であるというのは、偶然ではない」
4. 未来の右腕を見極める
多くのリーダーはメンタリングを「お返し」、つまり時間がない中で行う慈善的な行為だと考えている、と戦略実践家でありビジネスコーチ、そしてNavigating Your Nextの著者であるジュリアン・ライトンは指摘する。しかし、このような考え方をしていては、メンターシップが持つ戦略的価値を見落としてしまう。
「最高のメンター関係とは、知恵の一方的な伝達ではない」とライトンは言う。「それは、双方が成長する相互学習の実験室なのだ。誰かのメンターになるとき、自分が暗黙のうちに理解していることを言語化せざるを得なくなる。直感的に実行しているそのセールス戦略を他人に説明することで、自分自身の思考のギャップが明らかになり、アプローチが研ぎ澄まされる。経験豊富なCEOが、メンティに自分の論理を順を追って説明するだけで、自らのビジネスモデルの盲点に気づくこともあるのだ」
ライトンによれば、メンタリングはリーダーシップの層を厚くすることにもつながる。「今日あなたが育成している若手エグゼクティブは、明日には複雑なプロジェクトを任せられる信頼できる右腕となり、あなた自身はより価値の高い仕事に集中できるようになる」と彼は説明する。「単に相手を助けているだけでなく、自分自身のインパクトを何倍にも高めているのだ」
そしてライトンは、リーダーにとってメンタリングの最も価値あるメリットは、メンティがシニアな同僚たちなら口にしないような質問を投げかけてくれることだと考えている。「彼らは政治的なしがらみなしに、当たり前とされている前提に疑問を投げかけてくれる」と彼は言う。「『なぜこの方法でやっているのですか?』という新鮮な視点は、時代遅れのプロセスや見落とされていた機会を明らかにしてくれることが多い」
5. 従業員の実体験からインサイトを得る
「メンターを務めることは、私のキャリアの中で最もやりがいのあることの一つだった」と、著書Why Is SHE Still Here?の著者であるパティ・アザレロは語る。「時には、不公平なほどの優位性を得ているように感じることさえあった。メンタリングによって、組織内の人々が実際に何を経験しているのか、直接的なインサイトを得ることができた。これは重要なことだ。なぜなら、ビジネス戦略の成否は人で決まるからだ」
アザレロは、リーダーはもっと多くの会話をインフォーマルなメンタリングセッションと捉え、何がうまくいっていて、どこで行き詰まっているのかを尋ねるべきだと言う。「そのような率直なやり取りによって、公式なチャネルでは決して明らかにならなかったようなリスクが表面化するだろう」と彼女は言う。「人々は本音を共有してくれる。それは、通常の業務の中では言わないようなことだ。リーダーとして、自分が知っているかどうかにかかわらず、チーム内に疑問や異論が存在していることを前提にしなければならない。だとしたら、それを知っておきたくはないだろうか」
自身のメンターとしての経験を振り返り、アザレロはメンタリングによって、部下にとってより良いリーダーになり、ビジネスにとってより効果的なリーダーになれたと語る。「それは私の意識を研ぎ澄まし、信頼関係を強化し、新たに発生する問題に対してより迅速に対処するのに役立った」と彼女は言う。「私自身のキャリアも、メンターがいなければ存在しなかった。メンターになることで、世界を変えることができる。自分一人では想像もできなかった道を誰かが見つけられるよう手助けするとき、あなたは文字通り、その人の世界を変えることになるのだ。誰もがメンターを持つべきであり、誰もがメンターになるべきだ」
他者をメンタリングすることで、リーダーはどのようにメリットを得られるのか
リーダーが他者をメンタリングすることで得られるメリットは多岐にわたるが、最終的にはリーダーとしての総合的な能力を高めることにつながる。ライトンは次のように語る。「優れたリーダーは、人材育成が慈善活動ではないことを理解している。それは戦略的なリーダーシップなのだ。他者の育成に投資することは、組織の能力を高め、自身の思考を強化し、成果をもたらすハイパフォーマンスなチームを作ることにつながる。メンタリングの見返りは、単なる好意ではない。双方にとっての、測定可能なパフォーマンス向上なのだ」



