マーケット

2026.09.23 12:30

ナイキ株、エムバペのOn移籍でダウ構成銘柄の座を失う可能性

レアル・マドリード所属のサッカー選手、キリアン・エムバペ(On)

レアル・マドリード所属のサッカー選手、キリアン・エムバペ(On)

キリアン・エムバペにとって、ナイキを身につけることは人生の大半において自らのアイデンティティの一部だった。彼は子どもの頃に同社と契約し、世界で最も価値のあるサッカー選手の1人となり、およそ20年にわたってナイキの象徴である「スウッシュ」ロゴとともに歩んできた。そんな彼が、まだサッカースパイクを販売してもいないスイスの新興ブランド「On(オン)」へと移籍する。この事実は、ナイキがまもなくダウ・ジョーンズ工業株平均から除外される可能性以上に、ナイキ株の投資家を不安にさせるはずだ。

advertisement

ダウの話題は注目を集めるだろう。ナイキはピークから約80%下落し、ダウ構成銘柄のなかで最も加重比率の低い銘柄となったからだ。すでにS&P100からは約18年ぶりに除外され、株価の縮小によりダウでの地位も精査の対象となっている。しかし指数委員会は、すでに起きたことを追認できるにすぎない。エムバペの決断は、競争がどこへ向かおうとしているのかを物語る。

ナイキは、自らが築き上げた市場で試練に直面している。新興ブランドはもはや、ランナーや周辺のライフスタイル消費者を拾い上げるだけでは満足していない。彼らはナイキが抱える選手、カテゴリー、そして文化的な存在感を狙いに来ている。投資家にとっての問いは、ナイキの再建がそれを止めるのに十分な速さで進んでいるかどうかである。

SEE
ALSO

マネー > マーケット

advertisement

ナイキ株が小幅に下落──コンバースの広告騒動とエムバペ離脱を受け

ダウの動きはナイキ株の物語に遅れている

ナイキがダウに採用されたのは2013年、世界的な成長、プレミアムなバリュエーション、そして文化的な支配力が、米国企業の代表としてふさわしいとされた時期だった。ダウは株価加重型の指数であるため、ナイキの株価急落は、いまだ相当の時価総額を持つにもかかわらず、その影響力を着実に減じてきた。ロイター通信によれば、ナイキの地位は現在、危うい状況にある。

除外はまた不名誉な見出しを生むだろうが、直接的な財務的影響は管理可能なはずだ。ナイキはS&P500には残り続けるほか、S&P各種指数にはダウよりもはるかに多くの資金が連動している。発表当日、ナイキの製品、利益率、競争上の地位が変わるわけではない。

とはいえ、この問題が無意味なわけではない。S&P100からのナイキ除外について論じた際、重要な点は見出しの陰で進行していた株主構成の変化だった。180ドルでナイキを保有していた投資家は、安定した成長、価格決定力、市場でも屈指の広い消費者向けの「堀」を備えたプレミアム型の複利的に成長を続ける企業を見ていた。そうした株主の多くはすでに離れた。現在の水準付近で買っている投資家は、再建への賭けをしている。

このリセットは、いわゆるキャピチュレーション(投資家の諦め売り・投げ売り)の可能性を生み出す。株価に織り込まれた期待水準は明らかに低下しており、ナイキは失った利益をすべて取り戻さなくとも、まずまずのリターンを生み出せる。ただし、旧株主が売り終えたという以外に、新しい株主に買う理由を提示する必要はやはりある。

次ページ > ナイキ株にとってより重要なシグナルはエムバペだ

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事