研究チームは、地球のより近くに位置する探査衛星などで収集した太陽風の観測データ100万件超を分析した。この中には、NASAのMMS (Magnetospheric Multiscale) 衛星群やテミス(THEMIS)衛星群のデータが含まれている。
MMS衛星群は編隊飛行する4基の衛星を用いて、磁気リコネクション(磁力線再結合)現象を観測する。これは、磁力線がちぎれて別の磁力線につなぎ変わることでエネルギーが解放され、地球の磁場が支配する宇宙空間の領域(磁気圏)に太陽風のエネルギーが入り込む現象だ。オーロラに関連する擾乱現象を調査する目的で、当初は5基編成で打ち上げられたテミス衛星群は現在、3基の衛星を用いて、地球近傍の宇宙空間と、環境の変化に対して地球がどのように応答するかを観測している。
地球により近い場所で収集されたこれらの観測データは、太陽風の強さと地球の応答との間に正の相関に近い関係があることを示していた。
超大型の太陽嵐の影響が倍増する恐れ
測定誤差が生じた原因を明らかにした結果、太陽風が強まるにつれて地球の応答も増大し続けることを、研究チームは発見した。
太陽風が非常に強い場合、超大型の太陽嵐が地球に及ぼす影響は、従来の解釈が示していた規模の2倍に達する可能性があることを、研究チームの分析は示唆している。
今回の研究結果により、極端な宇宙天気現象が人工衛星や電力インフラ、通信やナビゲーション技術などに及ぼすリスクに関する科学者の評価方法が変更されるかもしれない。さらに、最大級の太陽嵐に対する地球の応答に関して、研究者が数十年間にわたり構築してきた理論は再考を余儀なくされるかもしれない。
太陽現象の「最悪事態のシナリオ」
2025年に発表された研究では、最終氷期に発生した大規模な太陽粒子(プロトン)嵐が分析された。その規模は、現代に観測された太陽嵐の約500倍強力なものだった。仏アルプス地方で採取された樹木の年輪の分析から、最終氷期の終末期にあたる紀元前1万2350年頃に、放射性炭素濃度が急増した証拠が発見された。これは太陽粒子嵐と呼ばれる現象で、高速で飛来する高エネルギーの陽子(プロトン)により、地球の周辺で太陽放射線の嵐が吹き荒れた。現代では、これに匹敵する規模の現象は発生していない。現代の科学で記録された中で最大規模である2005年の太陽粒子嵐でも、紀元前1万2350年の太陽粒子嵐と比較するとその規模は500分の1にすぎなかった。


