ハレー彗星を見たことはあるだろうか。地球のある内太陽系を最後に通過したのは1986年だった。次に戻ってくる時には、長さ約15km、幅8kmの彗星核の傍らを探査機がランデブー飛行することになるかもしれない。そんな新たなミッション構想がこのほど明らかになった。
研究チームは、2061年にハレー彗星が再び太陽に接近して近日点を通過するのに合わせ、2030年代に探査機を打ち上げて2060年にハレー彗星とランデブー飛行できる軌道を設計した。
査読前の学術論文を投稿・共有できるプレプリントサーバー「arXiv(アーカイブ)」に公開された本研究では、木星と土星の重力アシストを低推力の電気推進と組み合わせることで、この驚くべき宇宙の旅を実現できると提案している。
歴史に名を刻んだ1986年の「ハレー艦隊」
1986年の到来時に複数の無人探査機がハレー彗星の近接観測に挑んだいわゆる「ハレー艦隊(Halley Armada)」は、初期の惑星探査時代における国際共同プロジェクトの輝かしい成功例だ。ただ、彗星との出会いは短いものだった。
このときは旧ソビエト連邦の「ベガ1号」と「ベガ2号」がまずハレー彗星に接近して、その追跡データを提供したことにより、欧州宇宙機関(ESA)の「ジオット」が彗星の核に迫る軌道を精緻化できた。
ジオットは1986年3月13日から14日にかけてハレー彗星からわずか600mほどの距離まで迫り、暗い色をした彗星の核やガスと塵を力強く噴き出す尾の接写画像を送信した。しかし、探査機はハレー彗星のそばを毎秒約70~80kmの相対速度で駆け抜けていったため、接写観測を行う時間はほとんどなかった。
つかの間のフライバイから画期的なランデブーへ
1986年のフライバイ(近接通過)とは異なり、ランデブーが実現すれば、探査機はハレー彗星の動きに同調して持続的な観測を行うことが可能になる。
ハレー彗星は有名な天体で、とても長い観測の歴史を持つ。米航空宇宙局(NASA)によれば、ハレー彗星の出現として確定している最古の観測記録は紀元前240年に中国の天文学者が残したものだ。ただ、科学的に解明すべき謎はまだたくさん残っている。
彗星の核がどのように回転しているのか、表面はどんな様子なのか、最も活発な領域はどこにあるのか、太陽に接近した際にどれだけの物質を失うのか、そして核の内部構造はどうなっているのか──こうした点については、まだ完全には解明されていないのである。
ランデブーを実現できれば、科学者たちはハレー彗星が太陽に近づくにつれて次第に活動を活発化させていく様子を観察しながら、核全体を網羅した高解像度の画像を撮影できるようになる。



