ペットのために信託を設定すれば安心ですし、億万長者でなくてもできます。
信託にする理由
受益者のために資産や金銭を保有する法的手段である信託は、ペットの世話をするには良い選択でしょう。何故なら、動物に資産、金銭、生命保険金を直接残すことは出来ないからです。
ペット信託は、ホテルを相続したレオナ・ヘルムズリーが、白いマルチーズのトラブルに1,200万ドルの信託を残しながら、4人の孫のうち2人に何も残さなかったことから、疑いの目で見られるようになりました。ヘルムズリーが2007年に亡くなってから1年後、判事が犬の信託を200万ドルに減額しました。トラブルは、2011年に12歳で死ぬまで贅沢に暮らしています。
トラブルの当初の信託は過大だったかもしれませんが、ペット信託が適切な場合もあり、生命保険を資金に充てるのが良い方法だと、ゲリー・ベイヤー教授が言っています。彼は、バリー・セルツァーと「金持ち猫と幸運な犬:資産(の一部)をペットに残す方法」を書いています。
「ペットを大事にしているなら、適切な取り決めと計画を作る必要があります」と、テキサス工科大学法学部のベイヤー教授は述べています。「家族が世話をしたがらず、動物が処理業者に売られてしまうことが多いのです」とも言っています。
あなたのペットは家族の一員かもしれませんが、法律上は資産です。そのため、あなたのペットに直接お金を残すことが出来ないのです。「お金を机や車に残すのと同じに扱われているのです」と、ベイヤー教授は述べています。
3つの主な選択肢
あなたの死後のペットの世話を計画するには、3つの方法があります。
伝統的信託: 伝統的な信託をペットのために設定することが出来ます。伝統的な信託では、ペットの世話について指示し、世話係を指名し、お金を管理する受託者を指定します。生命保険を信託の資金とする場合には、受託者を受取人として、信託名を書類に記載します。生命保険会社が、どのような任命の文言にしたらよいか教えてくれます。生命保険の一部をペット信託、残りをその他の受取人、例えば、子供に行くように指定することもできます。
法定ペット信託: 法定ペット信託では、遺言に「5,000ドルをローバーの世話のために信託として残します」と簡単な指示を書けば良いと、ベイヤー教授は言っています。遺言検認裁判所が足りない所を補って世話をする人を任命し、お金を管理します。唯一、ミネソタ州が法定ペット信託を認めていませんが、ベイヤー教授はそれは変更されると考えています。法定ペット信託の欠点は、ペットの世話に関する詳細な指示を残せないことです。
ペット保護契約: ペットの世話のために多額のお金を残す必要がなければ、もう一つの選択肢として、自分で出来るペット保護契約があり、LegalZoomから利用可能です。この契約は、動物法・資産専門のレイチェル・ハーシュフェルド弁護士が作り出したもので、あなたがペットの世話についての指示を記載し、あなたとペット世話係の双方が署名するものです。これは、法的拘束力があります。
金銭的にペットの世話を計画する上で、最も自由度が高いのは伝統的な信託ですと、ベイヤー教授は言っています。ペットに何を食べさせるか、どのくらいの頻度で獣医に検診にいくか、どこで寝るかなど、細かく指示を出すことが可能です。
生命保険をペットの世話の資金に充てるのであれば、あなたの年齢とペットの年齢を考慮して、どのタイプの契約が最も適切か決める必要があります。
定期生命保険は、10年、20年、30年といった一定期間をカバーします。もし、あなたの方がペットより長生きしそうで、万が一あなたが亡くなった場合に備えて保障が欲しいということであれば、定期生命保険が良いでしょう。
もし、ペットがあなたより長生きしそうな場合には、あなたの全生涯をカバーしている終身生命保険 が最善の選択です(定期生命保険より高額でもあります)。
信託を検討する時期
ペット信託は、長生きのペットを飼っている場合には特に重要です、とキム・ブレサント‐キブエ弁護士は言っています。彼女は、アメリカ動物虐待防止協会の信託・資産・計画的贈与専門の弁護士です。
例えば、ヨウム(African Grey Parrot)の寿命は、通常50年から70年です。馬の寿命は、普通およそ25年ですが、「50年生きた馬を知っています」と、ブレサント‐キブエ弁護士は言っています。カメの中には、寿命が150年以上のものが知られています。
ペット信託は、家が変わると飼うのが難しいエキゾチックなペットや、複数のペットのいる人にもお勧めです。
避けるべき間違い
ヘルムズリーがトラブルのために設定したペット信託は、最初から問題がありました。判事が資産の受託者からの要請を受けて減額したのは、明らかに過大だったからです。また、信託文書は、ヘルムズリーの弟または孫が犬の世話をするように指示してあったので、問題となりました。二人とも、世話をしたくなかったので、受託者は他に世話をする人を探さなければなりませんでした。
ペット信託を設定する際、以上のような問題を避けるために、ブレサント‐キブエ弁護士からの以下のアドバイスに従ってください。
一、ペットの世話をして欲しい人に、その気があるかどうか聞いてみてください。
一、ペットの世話係とは異なる受託者を選んでください。これによって、チェック&バランスの体制が出来ます。
一、受託者と世話係については、万が一役割を果たせなくなった場合のために、引き継ぐ人を指定してください。
一、以前にペット信託を扱ったことのある資産弁護士の紹介を受けておきましょう。地元の動物愛護機関に、該当者を問い合わせてください。
一、ペットのために取り置く金額を合理的なものにして、不満を持つ親戚の攻撃の的にならないようにしましょう。
一、ペットが死亡した時に、信託に残った金額がどこに行くのか指定しておいてください。動物愛護機関は、良い選択肢です。ブレサント‐キブエ弁護士は、残ったお金の受取人に世話役を指定しないようにと助言しています。それによって、世話係は、動物が早く死亡することを望む理由ができ、世話に十分な費用を掛けなくなるかもしれないからです。信託の中で、動物が生きている間の世話の対価として世話役に払うお金を指定することができます。
一、詳細に指示してください。「世話役や受託者が、ペットがどのように世話されるべきか分かっていると考えないでください。」
ブレサント‐キブエ弁護士によれば、あなたに何かが起こった時に、ペットがどうなるか考えておくのは、ペットの飼主としての責任の一部です。
「ペットに保護施設に行くようになって欲しくありません」と、彼女は語っています。
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