気候変動や世界貿易の不安定化により、食料の生産・加工から流通、消費までに関わる一連の活動体系であるフードシステムの耐久力や回復力(レジリエンス)は、高所得国においてさえ、ますます困難になっている。農地に太陽光パネルを設置して農業と発電を同時に行う「営農型太陽光発電(アグリボルタイクス)」ならば、土地利用を最適化し、食料とエネルギーの安全保障を両立する持続可能な生産戦略を提供できる。
熱波時のレタス生産について調べた最近の研究では、農地に太陽光パネルを設置してできた日陰でレタスを栽培すると、収量が驚異的に増加することがわかった。日陰のない対照群と比較して、太陽光パネルの下のレタスの収量は400%以上、全国平均の収量と比較しても200%以上多かった。
もっとも、これは単なる異常事態だった可能性もある。研究対象となった夏の数日間が突出して暑かったため、レタスの収量が激減しただけかもしれない。将来的にはどうなるだろうか。この研究のように、アグリボルタイクスに関する研究の多くは現在の気候に焦点を当てている。だが、次に紹介する新たな研究では、将来の気候条件下におけるレタス生産とアグリボルタイクスによる遮光効果の可能性を評価している。
太陽光パネルを日除けにしたレタス栽培、将来の気候下ではどうなる?
この研究では、密閉型バイオーム(生物群系)で現在(2025年)と将来(2050年)の気候条件を再現し、気候変動シナリオ分析を営農型太陽光発電システムの設計に組み込んだ。
将来の革新的で持続可能な食料・エネルギー体系を推進するため、半透明のテルル化カドミウム(CdTe)薄膜を用いた太陽電池パネルや、結晶シリコン太陽電池パネルなど、10種類の透明度を持つ太陽光発電(PV)モジュールを使って実験を行った。結晶シリコンパネルは現在最も一般的なタイプのPVモジュールで、建物の上に取り付けられているのをよく見かけるものだ。
最も高い適応性を示したのは透過率69%の結晶シリコンモジュールで、現在(2025年)の気候下で高い生重量を達成したのみならず、将来(2050年)の気候下でも減少を最小限にとどめ、反復実験ではアグリボルタイクスによる日陰のない対照群の収量を最大3.6%上回った。
将来の高温の気候下では、レタスの生産量は単純に低下した。2050年の対照群では収量が26.8%減少したものの、透過率30%および60%のCdTe薄膜モジュールや69%の結晶シリコンモジュールなどでは損失が抑えられ、40%のCdTe薄膜モジュールでは収量が増加した。アグリボルタイクスは水利用効率も向上させ、高い生理学的性能を維持した。



