ほぼ全ての企業が人工知能(AI)を使っている。だが、そこから十分な成果を得ている企業はほとんどない。こうした事実がHubSpot(ハブスポット)による数千社に対する調査で明らかになった。同社の最高経営責任者(CEO)ヤミニ・ランガンが自社イベントUNBOUNDでこのほど行った基調講演によると、HubSpotが調査した企業の90%がAIを利用しているが、劇的な成果を上げている企業はわずか6%だという。
「これは非常に大きなギャップだ」とランガンは語った。
だからといって、残りの94%の企業が成果を一切得ていないという意味ではない。しかし、大半の企業がAIに資金を投じているにもかかわらず、需要や案件、顧客といった重要な部分で大きな変化が起きていない。さらに悪いことに、質の低いデータと乏しいコンテキスト(背景情報)しか与えられていないAIは、AIを全く使わない場合よりもリスクが大きく、業績の悪化を招く。
もちろん、HubSpotはその解決策となる製品を持っている。同社は9月18日に開催された年次カンファレンス「UNBOUND 2026」において、ここ数年で最も重要なリリースと位置づける一連の製品を発表した。自ら更新を行うCRM(顧客関係管理システム)、質問に答えるだけでなくアクションを起こすよう刷新されたAIアシスタントのBreeze、AIが動作する際のビジネス・コンテキストを管理する新しいハブ、企業向けの新たなオンデマンドAIエージェントビルダー、そしてChatGPT広告との初のCRM統合だ。
これらは全て1つの前提に基づいて構築されている。AIの性能は、AIがあなたのビジネスについてどれだけ知っているかによって決まる。だが、ここにはひとつの大きな問いがある。AIから価値を生み出している企業の取り組みは、どのように異なるのか。
ランガンによると、AIで成果を上げている6%の企業は、次の3つのことを実践しているという。
1. ユースケースを絞って成果を優先する
「変革的な企業はまず、成果の達成に取り組んでいる」とランガンは語った。
それは多くの場合、やることを減らすという意味だ。新しい基盤モデルやAI搭載ツール、AI活用に関するプロセスが次々と登場しているが、高い成果を上げている企業は「より多く」ではなく、「より少なく」を実践している。HubSpotはマーケティングや営業、カスタマーサービスにおける50件以上のAIユースケースを追跡した。最も高い成果を上げている企業が導入しているのは平均して4〜5つだ。
「変革的な企業は、より多くではなく、より少ないユースケースに取り組んでいる」とランガンは語った。
また、選んでいるユースケースも違う。HubSpotは各ユースケースについて、その人気度と生み出すインパクトの大きさを比較してグラフ化した。コンテンツの作成やメール送信、会議の準備など、多くの人がAIで行っていることは、インパクトという点ではスコアは低かった。
「インパクトの低い方へ、完全に間違った方向へ進む見事な曲線ができている」とランガンは語った。
これは理にかなっている。そうしたユースケースは簡単に手に入る成果のように見える。いくつかプロンプトを入力すれば、ブログ記事やメールが出来上がる。だが、それは誰でも自分でいくつかプロンプトを入力すればできることだ。より大きな問題は、多くのツールにはそうしたメールやブログ記事を、内容豊かで大きな効果を持つものにするためのコンテキストが欠けている点にある。顧客や製品、業界についての知識が足りないのだ。
HubSpotによると、インパクトの大きいユースケースは、企業ごとの詳細なコンテキストに依存している。つまりそれは、キャンペーンの分析、パイプラインの優先順位付け、顧客フィードバックの分析などだ。これらはどれも自社のビジネスデータなしには機能しない。
「重要なのはあなたのデータだ」とランガンは語った。「あなたのコンテキストであり、だからこそ、それがあなたの強みになる」



