iPhone 4で初登場した機能のひとつが、前面の「セルフィー」カメラだった。しかしアップルのプレゼンテーションはポートレート撮影ではなく、ワンクリックで完結するシンプルなビデオ通話ソリューションに焦点を当てていた。
本稿は、スマートフォン時代を形づくった瞬間を振り返る「30 Days of iPhone」の11日目である。
iPhone 4の限定的なビデオ通話機能の投入
アップルは発表時、2つの重要な制約を設けて慎重なアプローチを取った。ビデオ通話を帯域幅の限られた3GセルラーネットワークではなくWi-Fi接続に限定したこと、そしてアップル自社ハードウェアのみがシステムを利用できるようにしたことである。FaceTimeがデビューから4カ月後にmacOSへ導入された際、アップルはFaceTime対応のiPhoneおよびiPod touchが1900万台販売されたと発表した。
FaceTimeの発表とあわせて、スティーブ・ジョブズは、標準を満たす者なら誰でも相互運用可能にする「オープン標準」としてシステムを提供する方針も表明した。「我々はこれを最後までやり遂げる。明日から標準化団体に持ち込み、FaceTimeを業界のオープン標準にしていく」
FaceTimeはアップルのiPhoneハードウェアに閉ざされたまま
これは実現しなかった。特許紛争のせいで不可能だったのかもしれない。あるいはスティーブ・ジョブズがチームに伝えないままその目標を口にしたのかもしれない。もしくは詳しく調べてみると独自コードが多すぎ、公開しても商業的な利点がなかったのかもしれない。理由はどうあれ、FaceTimeはアップルのエコシステムを囲う数多くのデジタル堀のひとつとなった。
友人や家族とFaceTimeで話したければ、相手もiPhoneを買う必要があった。FaceTimeをめぐる同調圧力は最新iPhoneの販売を後押しし、友人グループと同じ端末を使い続けようとする流れが、オープン標準という逃げ道のないまま、ユーザーをアップルの世界にしっかりと留めておくことになった。
本稿は「30 Days of iPhone」の11日目である。昨日はアップルがアンテナゲートの失敗をいかに増幅させたかを取り上げた。



