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2015.12.14 12:00

フランス右翼政党FN躍進、政権政党に揺さぶり

Zerbor / shutterstock

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フランスの地方選で、右翼政党で反移民を掲げる国民戦線(FN)が29%の得票率を獲得し、全13選挙区のうち6選挙区の得票率で首位に躍り出た。

中道左派・共和党は27%、政権与党の社会党は23%の得票率だった。FNの勢力を阻止し確実に議席を確保するため社会党は今後3選挙区で候補者の擁立を辞退する方針だが、サルコジ前大統領率いる共和党は社会党と候補者擁立で協力する可能性を否定している。

2010年に行われた地方選で、政権与党の社会党は1議席を除くすべての議席を獲得し、今回の選挙では2選挙区で議席を確保することができた。しかし北部ではFNのマリーヌ・ルペン党首が40%以上の支持を獲得するなど惨敗した。

共和党は社会党への対決姿勢を強め安全対策を論点にしたものの大きな支持にはつながらず、FNの躍進を止められなかった。2017年の大統領選までにこの2党がFNの勢いを止める唯一の方法は、FNを単に批判の的にするのではなくFNの政策を攻撃することだ。

FNは、フランスが人やモノが自由に行き交うことを認めたシュンゲン協定やEU、ユーロ通貨から離脱し、主権を取り戻すと主張している。

インフレが貯蓄や年金への打撃となるなか、FNの主張するEU離脱はフランス国内での更なる雇用悪化につながると指摘する政治家はいなかった。現実にそうなると、フランスは石油やその他輸入に頼るモノへの支払い能力がなくなるうえ、国際市場においてフランスからの輸出品は安くなるのと引き換えに新フランという著しく価値の低い通貨でしか取引ができなくなる。

FNはフランスの主権回復と多文化社会の終焉を唱えている。学校や公共サービスは特定の宗教グループのための特別な食事や開店時間を提供するべきではないと批判し、信仰者はお祈りの場所などを自分たちの資金で用意するべきだと主張する。

FNは中央集権的な権力を構築し、警察を増やし、死刑を復活させようとしている。FNの政策案には有権者に聞こえの良い内容が多く含まれているが、それらはどれも長年政権をとってきた2大政党への批判に終始しておりFN独自の案に関する詳細な説明はしていない。FNは産業革命の再興や、移民の強制退去も唱える。

FNが呼びかける政策を支持する人が増える一方、現実世界に照らし合わせるとそれらは実現性が非常に乏しい。社会党と共和党は自らの政策の不備を認めたうえで、FNを率いるルペン党首の議論の弱点に切り込んでいく必要がある。

なにより、2大政党は議席の配分を巡った政治的交渉にうつつをぬかすのではなく、フランス国民の関心がある安全対策や、雇用、ゆがんだ社会構造などの問題に真剣に取り組んでいることを訴えかけなければならない。国民が関心を持つ政治の実現こそ、政治家に課された使命である。


編集 = Forbes JAPAN 編集部

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