2030年までに地球の急速かつ自律的な修復を促す「ポジティブなティッピングポイント(転換点)」は、依然として実現可能である──新たな分析でそう示された。
アースショット賞(The Earthshot Prize)と英エクセター大学による報告書は、今後5年以内に地球を修復するための急速かつ変革的な変化を引き起こす可能性を秘めた、50以上の主要な「ソリューション領域」を挙げている。
同研究は、標的を絞った取り組みがすでに急速かつ変革的な変化を導いている分野を浮き彫りにしている。その一つがクリーンエネルギーで、コスト低下がさらなる導入を促し、追加投資を呼び込んでいる。
一方で報告書は、地球が「ネガティブなティッピングポイント」に急速に近づいていると警告する。その一例がアマゾン熱帯雨林の枯死(ダイバック)であり、そこでは生態系への壊滅的な被害が不可逆的なものとなる。
しかし同研究は、同じ科学が「ポジティブなティッピングポイント」、つまり進歩が急速かつ自己強化的になりうる閾値という機会も提供していると付け加える。
たとえば、導入拡大がコストを引き下げ、成功がさらなる投資を呼び込み、新しい政策が他の地域に広がることで、進歩のカスケード(連鎖)効果が生まれる。
アースショット賞は今後、この知見を活用し、急速なシステム変化を引き起こす可能性のあるソリューションを特定していく。
報告書の著者であり、エクセター大学のグリーン・フューチャーズ・ソリューションズ(Green Futures Solutions)のリサーチフェローを務めるスティーブ・スミス博士はインタビューで、報告書に挙げられた51の「ソリューション領域」がポジティブなティッピングポイントを引き起こす最大の潜在力を持っていると述べた。
スミス博士はさらに、適切な支援が与えられれば、これらの領域はそれ自体で成功するだけでなく、さらなる変化を自律的に推進する力にもなり得ると付け加えた。
報告書は、ポジティブなティッピングポイントの可能性を持つ主要分野の一つとして、森林再生を挙げている。
「森林は自らの気候をつくり出すことができる」とスミス博士は語った。「森林を回復させるには最低限の水分量と降雨の循環が必要で、その状態に達すれば、こうした生態系の生物多様性の内部でも強化的なフィードバックが働く」
「劣化した森林を健全な状態へと押し戻せるのは、こうした重要な強化的フィードバックなのだ」
スミス博士はまた、銀行、保険会社、各国政府など、森林の再生に重要な役割を果たしうる少数の主要ステークホルダーが存在するとも指摘した。
「世界全体を変えるということではない。システムに最も大きな影響力を持つクリティカル・マス(決定的な数)の主体に働きかけることが重要なのだ」
報告書はまた、海洋保護もポジティブなティッピングポイントの可能性を秘めた分野として挙げている。
スミス博士によれば、海洋は森林に似ている。生態系の栄養段階カスケードに関わる、独自の内部的なティッピング・ダイナミクスを持っているためだ。
「適切なキーストーン種(生態系を維持する上で主導的な役割を果たす中枢種)を環境に戻し、その働きのための空間を与えれば、一定の時間を経て、こうした変容が起こる」と同博士は説明した。
「そして、保護している海域の健全性を再活性化するだけでなく、その海域は、はるかに広い海域全体へ生物多様性を広げるための育成の場にもなる」
アースショット賞の最高経営責任者(CEO)ジェイソン・ナウフはインタビューで、報告書の背景にある原則がすでに今年の環境賞(年内に発表予定)のファイナリスト選考プロセスに適用されていると語った。
ナウフはさらに、ポジティブなティッピングポイントの原則は、ファイナリストのポートフォリオ全体を通じて、今後のアースショット賞のサイクルの形成にも役立つと付け加えた。
「私たちがそれをどのように実務に適用しているかを示し、公開することは重要だ。私たちが協働するすべての人々、そしてより広いコミュニティにとっても、非常に有用なツールになり得る」とナウフは語った。
「ポジティブなアジェンダを持つことは極めて重要だ」とナウフは付け加えた。「私たちが目の当たりにしている極めて現実的な負の側面に加えて、手の届く範囲にいくつものポジティブなティッピングポイントがあることを、人々は知る必要がある」
「今後数年にわたり集中を維持すれば、不可逆的な形でバランスを元の方向へと傾け直すために、私たちにできることがある」とナウフは述べた。



