才能を称賛するのは容易だ。戦略を議論するのも容易だ。だが、自信を目にするのは難しい――チームが困難に直面するまでは。
アンドレ・マーティン博士は、25年以上にわたり組織行動論を研究し、マース、ナイキ、Google、ターゲットでのリーダーシップ職を含め、さまざまな業界や世界中のチームと協働してきた。著書『Collective Confidence: The Winning Formula of the World’s Best Teams(集団的自信:世界最高峰のチームの勝利の方程式)』の中で、彼は一見シンプルだが本質的な問いを投げかけている。それは、チームが何を成し遂げられるかは、メンバー全員が「自分たちなら一緒に解決策を見出せる」と心から信じているかどうかに大きく左右されるという点だ。
この信念は単なる掛け声ではないと、マーティンは主張する。勝利の後に残る余韻にすぎないわけでもない。スコアボードに結果が出る前に、あらかじめ育むことができるものなのだ。このことは、リーダーに重要な責任を課している。自信とは、置かれた状況から勝手に生まれるものではない。仕事の組み立て方、議論の方法、そして行動の強化の仕方を通じて、リーダーが自ら作り出すのを手助けできるものなのだ。
マーティンは「楽観主義」と「集団的自信」を明確に区別している。彼にいわせれば、楽観主義とは「単なる未来の予測」にすぎない。一方、集団的自信が異なるのは、それが根拠に基づいている点だ。それは、メンバーそれぞれの能力を見渡し、それらの能力を合わせればより良い結果を生み出せると確信したときに「チームが導き出す結論」なのである。
この区別が重要なのは、困難な仕事において確実なことなど滅多にないからだ。リーダーは、戦略の成功や、変革が計画通りに進むことを保証することはできない。彼らにできるのは、何が起ころうともチームには対応する能力があると、メンバーが信じられる根拠を整えることだ。
マーティンの言葉を借りれば、「困難なことほど、相互依存が必要になる」。単純な作業であれば、優秀な個人が1人でこなせることも多い。しかし、重大な仕事には、異なるスキルを持つ人々が互いに頼り合うことが不可欠だ。チームメンバーが、自分にはない能力を周囲のメンバーに見出したとき、自信の相乗効果が生まれる。
それこそが、自信が成果の後に付いてくるだけでなく、成果に先行し得るとマーティンが考える理由の1つだ。研究によると、集団的自信は「将来のチームパフォーマンスを予測する最も強力な指標の1つ」であることが示されているという。高いパフォーマンスを発揮するチームへのインタビューでも、この点が裏付けられた。リーダーたちは、チームが成功できるという信念を高めるための「日々の小さな行動」を日常的に実践していたのだ。
そうした小さな行動は見過ごされがちだ。意思決定がどのように行われるかをリーダーが明確にする。CEOに対して建設的な問題提起をした同僚を誰かが称賛する。新入社員が、長年続く慣行に疑問を呈することを推奨される。マネジャーが、気が遠くなるような課題を分割し、早期に達成可能な小さな目標にする。これらの行動はどれも、企業のビジョンステートメントには載らない。しかし、それらが合わさることで、メンバーが困難な状況に活気を持って立ち向かうか、それとも躊躇するかを決定づけるのである。
マーティンは、多くの組織においてカルチャーが抽象的になりすぎているのはこのためだと指摘する。高邁なバリューの表明に頼る一方で、日々の仕事の具体的な仕組みは曖昧なままにされている。彼が提案する解決策は、明文化された「行動規範(ルール・オブ・エンゲージメント)」だ。誰に意思決定の権限があるのか、対立にどう対処するのか、アイデアをどのように共有し浸透させるのか、どのような行動が許容されるのかについて、明確な合意を形成することである。
最良のチームは曖昧さを排除する、と彼は言う。彼らのプロセスこそが「自信を、一貫して再現可能なパフォーマンスへと変換するエンジン」になるのだ。
彼は、ウエストポイント(陸軍士官学校)の士官候補生が小学校の中休みを運営した際のエピソードを挙げる。候補生たちは、整列やエリア分け、分刻みのスケジュールなど、活動を過剰に管理しようとした。一方、経験豊富な教師たちのやり方はもっとシンプルだった。ルールは実質的に、駐車場に立ち入らないこと、フェンスを越えてボールを追いかけないこと、そして誰も叩かないことの3つだけ。それ以外は、子どもたちが自分たちで活動を組み立てることができた。
リーダーへの教訓はシンプルだ。仕組みがなさすぎると混乱が生じ、多すぎると自律的な判断力が失われる。重要なのは、メンバーが境界線を理解できる程度の明確さを確立し、その上で自由に行動できる余地を与えることだ。
マーティンは、指揮者のいない「オルフェウス室内管弦楽団」を例に挙げる。演奏者にはテンポやリズム、協調が必要だが、演奏される曲やその瞬間に求められる専門性に応じて、リーダーシップが自発的に生まれる。「全員がグループのリーダーになる可能性を秘めている」と彼は語る。
リーダーシップを共有することは、正式なリーダーの責任を免除するものではない。むしろ、リーダーの役割をより基盤的なものにする。マーティンによれば、メンバーは次のような基本的な問いに対して明確な答えを求めている。「自分たちが存在することで、社会はどのように良くなるのか?」「現在のミッションは何か?」「仕事をどのように進めるべきか?」「組織は経済的にどのように成功するのか?」「リーダーは働く人々に対して何を約束するのか?」
これらの問いが曖昧なままだと、権限移譲は「放任」になりかねない。明確であれば、従業員は組織全体の利益のために行動しやすくなる。
その明確さは、心理的安全性と切り離せないものだ。マーティンはリーダーに対し、新入社員を急いで組織に同化させないよう警告する。すぐに「我が社のやり方」を教え込むのではなく、内部の人間が気づかなくなっている暗黙の前提を指摘できるよう、彼らのアウトサイダーとしての視点をあえてしばらく維持させることを推奨している。
「最初の90日間は、彼らに社内最大の批判者になってもらうといい」と彼は言う。
異議を唱えることについても同じ論理が当てはまる。意見の不一致が歓迎される様子を目にすることがなければ、オープンドア(門戸開放)ポリシーなどほとんど意味を持たない。カルチャーとは手本を通じて学ぶものだ、とマーティンは言う。若手社員がシニアリーダーに異を唱えた際、処罰ではなく好奇心を持って受け止められれば、他のメンバーは率直に発言しても安全だという確証を得ることができる。
そうなれば、承認や称賛は単なる成果への報酬ではなく、カルチャーを醸成するツールとなる。一般的に組織は、売上やマイルストーン、スター社員を称えがちだ。しかしマーティンは、リーダーは繰り返してほしい行動、すなわち「勇気ある質問」「有益な異議」「コラボレーション」「探究心」なども称えるべきだと主張する。
自信は進歩からも生まれる。人材育成とは、能力を限界まで引き出すような仕事をすぐに与えることだと考えるリーダーもいる。しかしマーティンは、特に誰かが困難な課題に取り組む際には、「ゴルディロックス(ちょうど良い加減)」アプローチを好む。課題を達成可能な初期の目標に分解し、その成功を目に見える形にするのだ。
「人々はリスクの低い勝利から恩恵を受ける」と彼は言う。タイムリーでポジティブなフィードバックによって補強された小さな成功は、確かな証拠となる。証拠が信念を生み、信念がさらに困難なことに挑戦する意欲を生み出すのだ。
同じ原則は、失敗の捉え方を変えることにもつながる。多くの失敗が破壊的に感じられるのは、チーム内で「何をもって成功とするか」の合意が形成されていなかったからだ、とマーティンは主張する。イノベーションにおいては、前提が誤りであることを証明する実験も有用である。重要な問いは「私たちは完璧を目指していたのか、それとも学ぼうとしていたのか」ということだ。
マーティンが示す最も直感に反するポイントは、リーダーの謙虚さが、自信を損なうどころか高める可能性があるという点だろう。「私にすべての答えがあるわけではない」と言うリーダーは、権威を放棄しているように見えるかもしれない。しかし、マーティンはそこに異なる意味を見出している。それは「権限の配分」だ。自らの限界を認めることで、他のメンバーに専門知識を発揮するよう促し、最善のアイデアを見つけ出す責任をグループ全体に課すのである。
組織が直面する問題は、1人の英雄的なリーダーが解決するには複雑すぎることが多い。そうではないふりをすることは、チームが必要とする知性を抑圧することになりかねない。
したがって、集団的自信とは、絶対に悪いことは起きないとメンバーに思い込ませることではない。明確さ、信頼、能力、そして当事者意識を十分に醸成し、何かがうまくいかなくなったときでも、チームが自力で道を切り拓けると信じられる状態を作ることを意味するのだ。
一般的な組織に対して、1つだけ介入を行うとしたら何をするかと尋ねられたマーティンは、「借りてきた輝き」を挙げた。自分たちに似たチームが重要な成果を上げた事例を見せることだ。人々には、困難なことも達成可能であるという証拠が必要なのである。
彼のより広範な処方箋は、驚くほど実用的だ。「私たちには、もっと多くのインスピレーションが必要だ」。それは空虚な励ましでも、企業のきれいなスローガンでもない。期待を明確にし、異議を歓迎し、進歩に目を向け、権限を共有し、互いを高め合う人々と共に働くという日々の経験によって裏付けられた、根拠のあるインスピレーションである。
優れたチームは、最終的には勝利を重ねることで自信を獲得するかもしれない。しかし、リーダーシップにおけるより興味深い挑戦は、勝利を手にする前に何が起きるかだ。最良のリーダーは、自信が自然に現れるのを待たない。自分たちでそれを築き上げるための根拠を、人々に与えるのである。



