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2015.12.13

フェイスブック、アマゾン、ネットフリックス、グーグル株にも陰りか

Bloomua / Shutterstock

投資家は、アマチュアかスタンレー・ドラッケンミラーのような億万長者かに関わらず、急成長しているテクノロジー巨大企業のフェイスブック、アマゾン、ネットフリックス、グーグルの株を買って、株式市場の至る所で起こっている調整から逃れている。それは、賢明な行動だと言える。なぜなら、2015年のS&P 500にわずかな上昇をもたらしているのは、いわゆる「FANG」株だからである。しかしながら、トレンドは来年逆転する可能性もある。

FANG株は、2015年には35%から157%上昇したが、これはS&P 500の僅か2%の上昇と比べれば、驚くべき上昇率である。バイオテク、ホテル、レストラン、小売などの、かつて猛烈な勢いで成長していたセクターは皆、今年は沈んでおり、下落は一時は市場を引っ張っていたシェイクシャック、FitBit、GoProなどの最近上場した企業にも及んでいる。FANGの成長は、ドルの上昇と新興市場の減速に直面した多国籍企業の業績が落ち込んでいる事を考えると、特に印象的である。ただし、他の企業が皆、過大評価から下落したように、FANGも、直ぐに同様な目に会うかもしれない。

「2015年にS&Pの収益がマイナスになりそうなため、米国から他の市場へのシフトがあったように、一年を通して『成長』株への資金のシフトが起こりました」と、Jefferiesのグローバル・エクイティ・ストラテジストである ショーン・ダービーは、Monday Noteの中で言っている。同氏は、FANGへの安全を求めた投資もあるとしながら、それも終わりに近づいていると述べている。

ダービーは、恐怖からFANGに流れ込んでいた資金は、より広い市場に戻りつつあり、それによって調整が起こるかもしれないと考えている。「それは、FANGその他略語で表現されているグループの業績に対する失望が原因とは限らず、これまで見捨てられていた株の評価が相対的に上昇することによって起こるのです」

彼の説明は、以下の通りである。
「株式市場の歴史において、一纏めにされた株式が指標から離れた動きをすることは、何度となくありました。『Titans』は、大規模コングロマリットの小さなグループを指していましたし、『Nifty Fifty』は、国際的に成長している成長企業の集まりでした。『dot coms』は、『小資本』のビジネスモデルに基づいていました。市場を牽引している株式のトレンドは、既に変わりつつあるように思われます。示唆されている相関関係が反転上昇するとともに、市場の幅が累積的に広がりつつあり、同時に、インフレ期待が底打ちしたように思われるのは、興味深いことです。当社の見解では、今は、ポートフォリオの株式の数を減らすのではなく、増やす時です。」

FANGに対する熱狂は、全く的外れであったわけではない。11月初め、ゴールドマンサックスの株式ストラテジストであるデビット・コスティンは、フェイスブック、アマゾン、グーグル等の巨大時価総額株は、これまで市場に広がりがない時に、他の株を上回る結果を出してきていると、 述べている。コスティンは、次のように書いている。「米国の経済成長とピークのマージンがあまり期待出来ないことを考えれば、高い成長が見込まれる株には、プレミアムがつくことになります。時価総額が大きな会社は、時価総額が小さな会社より、信用条件の一層の引き締めから受ける影響が小さいのです。」

逆張りの傾向がある目鼻の効くトレーダーも、FANGsに入れ込んでいる。
11月3日のコンファレンスにおいて、億万長者のスタンレー・ドラッケンミラーは、 世界経済の先行きについては、どちらかと言えば悲観的な見方をしているが、フェイスブックやアマゾンのような急成長している高ベータの会社の株を買っていると述べている。ドラッケンミラーは、現在の市場環境においては、IBM IBM +1.43%のように資本を投資家に償還している会社より、アマゾンのように自らの事業に再投資している会社を好むとも言っている。
より根本的には、FANGsは、現存する最高の企業の幾つかであるということだ。Facebookの3,000億ドルの時価総額や Googleの5,000億ドルの時価総額は、収益の成長率、バランスシート、キャッシュフローに基づいて正当化出来る。AmazonとNetflixについては、異なる見方もあり得ようが、両社は、既存の競合相手を出し抜き、日々規模を拡大しているのである。

FANG株の調整はあるかといえば、あるだろう。しかしながら、FANGsが、1990年代の翼がワックスでできているように脆かったドットコム企業のように消えてしまうかといえば、それはないだろう。
FANGsのリスクは、次のように説明するのが、最も適切だろう。株価調整の影響を一番受けなかった株は、調整が終わった時に下がるかもしれない。いろいろ聞いているところでは、割安な株を求める動きが、幅広く市場に広がる兆候があるようだ。

商品市場では、Carl IcahnとElliott Managementが、Freeport-McMoRanやAlcoaといった大きく下げた銘柄を大量購入した。Hess、Marathon、Anadarkoといった独立系の石油掘削会社は、石油が最低価格を更新しているにも関わらず、下げ止まったようだ。

NASDAQ Biotechnology Index ETFは、第3四半期に短い調整があったが、その後持ち直し、現時点では年初来10%の上昇である。Shake Shack、GoPro、Fitbitなどの株は、株式公開後急上昇したが、底値となり、目鼻の効くJohn Maloneのようなテクノロジー関連の投資家やBarry DillerのIAC Interactiveは、現在の凪状態を活用して、ZulilyやAngie's ListなどにM&Aをかけている。

2016年に企業収益と投資家のコンフィデンスが回復すれば、FANG株は、そもそも調整と無縁ではなかったことが明らかになるかもしれない。

編集 = Forbes JAPAN 編集部

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