リーダーシップ

2026.09.20 07:54

「優しさ」というリーダーシップ――他者だけでなく、自分自身をも救う力

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キャリアのある時期、私は言葉にできない何かを失いかけていた。毎日が官僚主義との交渉の連続であり、自分が外科医になった理由が、手術とは無関係な山のような雑務の下に埋もれていることを思い知らされる日々だった。睡眠をとっても回復しないほど疲弊しており、これが本当に思い描いていたキャリアなのかと、初めて疑問を抱いた。

そんなとき、外傷用のポケベルが鳴った。

運ばれてきた患者は、その場にいる全員がそれまでの訓練で培った能力を極限まで発揮しなければならないほどの重傷を負っていた。外科医、看護師、麻酔科医、技師。私たち全員がひとつの目的のために動いた。そして力を合わせ、彼に再び生きるチャンスをもたらした。

その後、私は患者の母親と話をした。彼女が涙ながらに感謝の言葉を述べるなか、予想もしないことが起きた。生きるチャンスを与えられたのは、彼女の息子だけではなかったのだ。私自身もまた、もう一度チャンスを与えられたように感じた。その廊下に立ちながら、自分がなぜ医療の道を選んだのかをはっきりと思い出した。スケジュールや仕事量は何一つ変わっていなかったが、目的意識が戻り、それに伴ってエネルギーと落ち着きが蘇ってきた。

その経験は、私にあることを教えてくれた。ただし、それを完全に理解するまでには何年もかかった。優しさは、それを受け取る人を助けるだけではない。それを差し出す人をも修復する。それは感傷ではない。科学が、ますますそう示すようになっている。

学術誌『Affective Science』に掲載された研究では、カリフォルニア大学リバーサイド校の研究チームが671人の成人をランダムに分類し、2週間にわたり4つのポジティブな活動のいずれかを行わせた。あるグループは他者に対して親切な行為を行い、別のグループは自分自身に優しくするか、より社交的に振る舞うか、あるいは自分の興味を追求した。その結果、他者に親切にしたグループは、自分自身に焦点を当てたグループを含む他のすべてのグループと比較して、より強い人生の意味、自己効力感、そして自信を感じていることが報告された。外に向けられた優しさは、単に心地よいだけでなく、自分の人生に価値があると感じさせる活動だったのだ。

この事実は、すべてのリーダーの関心を引くはずだ。なぜなら、これまで私たちは誤った前提に基づいて優しさの必要性を議論してきたからだ。共感には価値がある、なぜなら士気を高めるからだ、と私たちは言われてきた。それは事実だが、その価値を過小評価している。優しさは、周囲の人々を強くするだけでなく、リーダー自身を守るという意味でも、私たちが持ち得る最も効果的なリーダーシップ戦略の一つかもしれない。

「優しさ」とは、多くの人が考えているものとは違う

ここで明確にしておきたい。リーダーシップにおいて、優しさは最も誤解されている言葉だ。

優しさとは、耳の痛い会話を避けることではない。すべてが順調であるかのように装うことでもない。基準を下げることでもなければ、ビルが炎上している最中に「物事の明るい面を見よう」と言い張るような、有害なポジティブさ(トキシック・ポジティビティ)でもない。気まずい話し合いを避けたいがために、優秀な部下に同じ過ちを繰り返させ続けるのは、思いやりではない。それは思いやりの服を着た「放置」である。

本当の優しさはその逆だ。相手を十分に気遣っているからこそ、真実を伝える。屈辱を与えるのではなく、敬意を持ってフィードバックを届けることだ。ある1週間において最も優しい会話とは、往々にしてスケジュールの中で最も困難な会話である。敬意を伴う率直さは優しさだ。説明責任を果たすことは優しさだ。コーチングは優しさだ。対立を避けるリーダーは、相手を思いやっているつもりかもしれないが、実際には成長を遅らせている。病院においては、防ぎ得たはずの危害を許してしまうことにもつながりかねない。

バーンアウトの原因は労働時間だけではない

リーダーシップとは問題を解決することだ。同時に、他の人々が最高のパフォーマンスを発揮できる環境を整えることでもある。そこで、優しさは単なる「愛想の良さ」の域を超え、「インフラ」となるのだ。

バーンアウト(燃え尽き症候群)とは、単に労働時間が長いことだけを指すのではない。自分の仕事にはもう価値がないと信じ込んで目が覚め、周囲の人々とのつながりを失い、自分の有効性に疑問を抱き、目的を見失うことだ。では、優しさが何をもたらすかをもう一度見てみよう。意味、自己効力感、自信、そしてつながりだ。これらはまさに、バーンアウトによって奪われる要素そのものである。優しさは、疲弊によって崩れ去ったものを再構築する。だからこそ私は、勤務時間は何一つ変わらなかったにもかかわらず、あの廊下から出てきたときに、入る前よりも心が軽くなっていたのだ。

組織にとっての意味とは?

医療業界は人材の定着に莫大な費用を投じている。スケジュールの見直し、報酬の引き上げ、ウェルネスプログラムの立ち上げなど、どれも重要だ。しかし、組織カルチャーはそれ以上に重要かもしれない。そして、カルチャーはリーダーの一つひとつの行動によって構築される。本物の優しさを実践するリーダーは心理的安全性を生み出す。そして、心理的に安全なチームは、疑問を口にし、不確実性を認め、小さな問題が小さいうちに声を上げる。手術室においては、これがニアミスで済むか、それとも大惨事になるかの分かれ目となる。

人は、自分が尊重されていると感じる場所、誰かが自分の成長に投資してくれている場所、あるいはミスが屈辱ではなく教訓となる場所に留まる。その恩恵は、単に従業員の幸福度が上がることだけにとどまらない。より強いチーム、より安全なケア、離職率の低下、そして人々が所属したいと望む組織の構築につながるのだ。

さらに、特に次世代の女性リーダーの育成に取り組んでいる人々にとって、特筆すべき二次的効果がある。ミスを罰するカルチャーは、古いヒエラルキーに守られていない人々を静かに追い出す。一方で、率直で敬意に満ちた優しさに基づくカルチャーは、そうした人々を引き留める。均一ではない、多様なリーダー層の厚みを増したいのであれば、近道は新しい育成プログラムを導入することではない。本音を言っても安全な環境を作ることだ。

ここから持ち帰るべき教訓

キャリアの大部分において、私は優しさとはリーダーが他者に与えるもの、あるいは有限な口座から引き出すものだと信じていた。だが、今はその逆だと確信している。優しさとは、リーダー自身が受け取るものなのだ。私たちが批判する代わりにコーチングを行い、説明責任を果たさせつつも寛容さを示すたびに、自分がなぜリーダーの道を選んだのかという理由が再確認される。

何年も前に私たちが救った患者は、私の中の何かを救ってくれた。そして、その交換の意味を理解するまでに、私は何年も要した。優れたリーダーシップとは、他者が力を発揮できるよう助けることだけではない。率いる本人を、静かに回復させるものでもある。かつてない規模のバーンアウトに直面する職業において、それは私たちが持つ最も実践的な教訓かもしれない。そして同時に、最も人間的な教訓でもある。

forbes.com 原文

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